韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪中をめぐり、中韓両国のメディアが批判合戦を繰り広げている。中国の習近平政権が文氏を冷遇したとして、韓国メディアが「無礼を越え屈辱」と報じると、中国メディアは「否定的解釈は国益のゴールにオウンゴールを決めるようなものだ」と牽制した。文氏の出席行事を取材していた韓国のカメラマンが中国の警備員から集団暴行を受ける事件も火に油を注ぎ、韓国メディアは「訪中に汚点を残した」と批判した。
朝貢国家かのような冷遇
韓国メディアが問題視したのは、まずは12月13日に北京の空港で文氏を出迎えた中国の孔鉉佑外務次官補(朝鮮半島問題特別代表)の格だ。韓国各紙は「昨年秋のフィリピンのドゥテルテ大統領の際は王毅外相が出迎えた」と待遇の差に不満を表明した。
韓国紙・中央日報(日本語電子版)は社説で「『国賓』として招いておきながら中国の態度は無礼を越え、韓国としては侮辱と感じられるほどだ。通常、長官級が出てくる空港の出迎えを次官補級が務めたことからしてそうだ。格が下がったことも問題だが、『THAAD担当者』を送ってきたのも常識的ではない」と指摘した。
その上で、文氏の北京到着当日、習国家主席をはじめとする国家の主要指導者が南京事件の80周年追悼式への出席を理由に北京を留守にしていたのも礼儀を欠くとして「今回の会談は内容だけでなく、格式、日程の選択などで少なからず遺憾を残した」と不満をあらわにした。
中韓首脳会談後の共同声明採択や共同記者会見が見送られただけでなく、食事を重視する中国で食事への招待が少なかったことにも不満を募らせた。
同じ社説では「訪中の4日間、文氏と中国高官の食事は習氏との晩餐、重慶市党書記との昼食だけだ。名前ばかりが国賓訪問なだけで、過去の朝貢国家に対するかのように冷遇するというやり方だ」と嘆いた。中央日報は別の社説でも「特に李克強首相との昼食会日程がないというのは恥ずかしい」として、内容、日程、格式すべてに納得しがたいと指摘した。
中国メディア「韓国の“幼稚さ”に配慮しない」
この韓国側の不満に対し中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は社説で、偏狭なのは中国ではなく韓国メディアだとして「このような報道は文氏の訪中を成功させる上で何の役にも立たず、両国関係の改善をいっそう困難にしている」と主張した。
首脳会談後に共同声明を発表しないのは、韓国に配備された米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」問題について、中韓両国に依然として不一致が存在しているからだとし、「このような時期に韓国メディアが文氏の訪中成果に否定的に解釈するのは、『国益のゴール』にオウンゴールを決めるようなものだ」と批判した。
さらに韓国メディアの報道には自分たちの気づかない傲慢さが表れているとして「文氏訪中に対する韓国保守勢力の不満の表れともみられる」とし、「中国はこのような幼稚さに配慮もしないし許すこともないだろう」と強調した。
この時期に訪中する必要は
文氏の訪中をめぐる場外乱闘をさらにエスカレートさせたのが、文氏の同行取材をしていた韓国のカメラマンらが現地の警備員から集団暴行され、病院に搬送された事件だ。両国の貿易関連の式典出席を終えた文氏を追って移動していたところ、警備担当者らの制止を受け警備員に集団暴行を受けた。韓国写真記者協会は声明で「大韓民国そのものが暴行を受けた」と抗議した。
ハンギョレ新聞(同)によると、韓国の大統領府高位関係者は「暴行に加担した人物らは(行事の主催者である)KOTRA(大韓貿易投資振興公社)の中国支社が契約した警護会社の職員たちという報告があった」と話した。
朝鮮日報(同)は、KOTRAが事件当日の安全サービス契約業者を調査した結果、現場の警護は中国公安当局の指揮下で行われたことが判明したと公表したと報じ「記者団は会場に出入りできる取材カードを所持しており、規定にも違反していなかった。それにもかかわらず、集団暴行を受けた」と批判した。
これに対し、環球時報は「当該記者たちが取材規定を破ったために事件が発生した」と真っ向から反論。一部のネットユーザーのコメントを引用して「暴行にあった青瓦台出入りカメラマンが取材の規定を破ったという非難を浴びている」として、「(以前)高官の歴訪で似たような事例が数回もあった」と主張した。
環球時報は社説で「本質的にこれは韓国人同士のけんかだ」とした上で「(韓国人記者を暴行した)警備員は彼らを雇ったKOTRAに対し最善を尽くしたものであり、韓国から来た、規則や秩序を守らない記者に警告、指導を加えるのを助けたものだ」と指摘。韓国国内での対立をかき立てるトーンを強調した。
それらすべてを含めて中央日報(同)は社説で「文氏は最初の中国国賓訪問を果たしてこの時期にする必要があったのかと感じる」と総括した。infoseek newsより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年12月26日火曜日
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