地球温暖化の予測の精度を高める気候変動観測衛星「しきさい」など2機の衛星を載せたH2Aロケット37号機は、23日午前、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、エンジンの逆噴射によって2機の衛星を異なる高さの軌道に投入することに初めて成功しました。
気候変動観測衛星「しきさい」と超低高度軌道での飛行を行う技術試験機「つばめ」の2機の衛星を載せたH2Aロケット37号機は23日午前10時26分ごろ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。
ロケットは順調に飛行し、打ち上げからおよそ16分後に高度790キロ付近で「しきさい」を予定の軌道に投入しました。
このあとロケットは姿勢を反転させ、エンジンを逆噴射して高度を下げていき、打ち上げからおよそ1時間48分後の午後0時14分ごろ、高度480キロ付近で2機目の衛星「つばめ」も予定の軌道に投入し、打ち上げは成功しました。
2機の衛星を異なる高さの軌道に投入できたのは今回が初めてで、国産ロケットによる衛星打ち上げの需要拡大につながると期待されます。
このあとロケットは姿勢を反転させ、エンジンを逆噴射して高度を下げていき、打ち上げからおよそ1時間48分後の午後0時14分ごろ、高度480キロ付近で2機目の衛星「つばめ」も予定の軌道に投入し、打ち上げは成功しました。
2機の衛星を異なる高さの軌道に投入できたのは今回が初めてで、国産ロケットによる衛星打ち上げの需要拡大につながると期待されます。
衛星1機当たりの打ち上げコスト削減に
今回のH2Aロケット37号機は、気候変動観測衛星「しきさい」と超低高度衛星技術試験機「つばめ」の2機を載せ、エンジンの逆噴射によってそれぞれを異なる軌道に投入するという新しい飛行に挑みました。
JAXA=宇宙航空研究開発機構とロケットを製造する三菱重工業は、これまでH2Aロケットを改良する高度化に取り組んできました。
JAXA=宇宙航空研究開発機構とロケットを製造する三菱重工業は、これまでH2Aロケットを改良する高度化に取り組んできました。
2015年11月に静止衛星を打ち上げた29号機で高度化されたロケットの2段目が本格運用され、出力を調節するバルブによってエンジンの点火と停止を3回繰り返せるよう改良が施されました。
従来の静止衛星は高度300キロで切り離され、そこから衛星が自力で静止軌道までたどり着く必要がありましたが、高度化によってより高い軌道まで衛星を持って行けるようになり、衛星側の負担を減らすことができるようになりました。
この技術を応用して、今回は2つの衛星をそれぞれ異なる軌道に投入するという初の打ち上げに挑みました。
この技術を応用して、今回は2つの衛星をそれぞれ異なる軌道に投入するという初の打ち上げに挑みました。
2段目のエンジンの最初の点火のあと、打ち上げからおよそ16分ほどで「しきさい」を高度790キロ付近で分離、その後、ロケットの姿勢を反転させて2回目の点火を行い、高度を落とします。
そして3回目の点火を行い、打ち上げからおよそ1時間48分後に「つばめ」を高度480キロ付近で切り離しました。
今回の成功は衛星1機当たりの打ち上げコストの削減につながるため、三菱重工業は商業衛星の打ち上げビジネスの拡大を目指したいとしています。
今回の成功は衛星1機当たりの打ち上げコストの削減につながるため、三菱重工業は商業衛星の打ち上げビジネスの拡大を目指したいとしています。
超低高度軌道での衛星運用技術の獲得を
技術試験機「つばめ」でJAXA=宇宙航空研究開発機構が狙うのは、高度300キロ以下の超低高度と呼ばれる軌道での衛星の運用技術の獲得です。
光学カメラやレーダーなどを使って地上を観測する地球観測衛星は、高度が低いほど高い解像度の画像を得られ、消費電力も抑えられます。
光学カメラやレーダーなどを使って地上を観測する地球観測衛星は、高度が低いほど高い解像度の画像を得られ、消費電力も抑えられます。
JAXAによりますと、高度700キロでおよそ140センチほどの解像度を得られるカメラは、高度200キロであれば解像度が40センチの高解像度の画像を得られるということです。
しかし高度が低くなるにつれ大気の抵抗が強まり高度を維持するのが難しくなるため、現在、地球観測衛星は高度600キロから800キロの軌道から地球を観測しています。
高度400キロ付近を飛行する国際宇宙ステーションも何もしなければ高度が下がっていくため、定期的に宇宙輸送船などのエンジンを利用して高度を上げるリブーストを行っています。
高度400キロ付近を飛行する国際宇宙ステーションも何もしなければ高度が下がっていくため、定期的に宇宙輸送船などのエンジンを利用して高度を上げるリブーストを行っています。
高度300キロ以下の超低高度軌道の宇宙空間は、高度600キロに比べて大気による抵抗が1000倍になるため、ほとんど活用されていないのが現状です。
JAXAは、超低高度軌道が活用できれば、より精度の高い観測のほか衛星の小型化や省エネ化で開発コストも抑えることができるとして、「つばめ」で衛星の運用方法を実証したいとしています。
JAXAは、超低高度軌道が活用できれば、より精度の高い観測のほか衛星の小型化や省エネ化で開発コストも抑えることができるとして、「つばめ」で衛星の運用方法を実証したいとしています。
「つばめ」では、大気の抵抗が大きい軌道でもイオンエンジンを使って高度を維持できるかどうかや、光学カメラを搭載してエンジンを使いながら高精度の観測ができるかどうかなどを確認します。
「つばめ」は幅と高さがおよそ1メートル、長さが2.5メートルで、太陽光パネルは重心を安定させるために6度傾けられ、まるで鳥が翼を広げて空を飛んでいるような形をしているのが特徴です。NHKニュースより
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