徴兵制復活の背景にあるのは、隣国ロシアに対する脅威である。 スウエーデンとロシアとはかなりの距離が離れていると思われる方も多いかもしれないが、添付した下の写真を見てもらえれば分かるように、スエーデン南端はバルト海を挟んで ロシア領土の対岸にある。
そのバルト海では、ロシアが3年前にウクライナ南部にあるクリミアを併合してから、緊張が高まっており、ストックホルム沖合では正体不明の潜水艦が出没したり、ロシアの軍用機が船舶の上空を飛行したりするなどの異変が毎週のように起きている。
NATO(北大西洋条約機構)とロシアとの関係もまたここに来て一段と厳しさを増してきており、米軍がポーランドやブルガリア、ルーマニア、バルト3国などに 4000人規模の部隊を投入する事態となったことは、先般「米国部隊3500人ポーランドへ」でお伝えした通りである。
そんな中、圧倒的な軍事力を持つロシア軍が昨年9月にウクライナ東部で軍事演習を行ったことに対して、 ヨーロッパ各国は強い危機感を持つようになり、昨年ワルシャワで行われたNATOの首脳会議で、ロシアの軍事的圧力に対抗するため、NATO軍の東ヨーロッパにおける軍事演習や訓練を拡大することが決められた。
そして今回、万一に備えて軍事力を強化するために、スエーデンは徴兵制を復活したわけであるが、バルト海の東側に位置しスウエーデンより更にロシアに近い位置にあるバルト3国(エストニア、ラトビア、フィンランド) にとっての不安はスウエーデン以上。 それゆえ、NATO軍の常駐や軍事演習を希望しているわけで、これから先、緊張感はさらに高まることになりそうである。
浅川嘉富ホームページより
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