韓国検察の取り調べを受けていた朴槿恵(パク・クネ)前大統領が22日午前、ソウル市内の自宅に戻った。聴取は21時間にもおよび、検察は巨大財閥からの収賄容疑について集中的に追及したもようだ。朴氏は否認したとみられるが、今後の運命は検察の判断にかかっている。収賄罪の最高刑は無期懲役で、朴氏は一生、刑務所暮らしになる可能性もある。
朴氏が自宅に戻ったのは22日午前7時すぎ。ソウル中央地検での取り調べは前日の午前9時35分から始まり、約14時間後の午後11時40分ごろに終わったが、聯合ニュースは、検察が作成した尋問調書の確認に時間がかかったと伝えた。
一連の国政介入事件で、朴氏には13件に上る犯罪容疑がかけられている。中でも、韓国最大の財閥、サムスングループから、朴氏の長年の友人である崔順実(チェ・スンシル)被告側への支援に絡む約433億ウォン(約43億円)の収賄容疑が事件最大の焦点だった。
サムスングループ全体の売り上げは韓国のGDP(国内総生産)の2割に当たるとされ、巨大財閥と最高権力者の癒着は韓国社会の厳しい批判にさらされた。さらに、収賄罪で有罪となれば、高額収賄の処罰規定に基づき、最高で無期懲役もあり得る。こうした事情から、検察側は収賄容疑の立証に注力せざるを得なくなった。
しかし、今月10日に罷免を決定した憲法裁判所の審判で、朴氏は「ただの一度も私益を追求したことはない」と意見書で主張。サムスングループからの収賄容疑については「こじつけだ」と否定した。憲法裁も収賄については判断を示しておらず、事情聴取でも朴氏は否認したとみられる。
取り調べ時の朴氏の服装が強硬姿勢を表しているとの指摘もある。韓国紙、中央日報(日本語版)は22日、朴氏の濃紺のコート姿について「政界では『戦闘モード』を象徴するという声が出てきた。朴前大統領は決然たる意志を示そうとする時に主に濃厚な色の服を着るという」と報じた。
検察の事情聴取は21日で終了したとみられ、逮捕状請求の是非について今後判断する。朝鮮日報(同)は、週末か来週初めにも決定するとみられると報じた。
韓国検察に過去、取り調べられた大統領経験者のうち、全斗煥(チョン・ドゥファン)氏には1審で死刑判決(その後、無期懲役が確定)が言い渡された。朴氏にも重罰が待ち受けているのか。
夕刊フジより
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