2017年3月30日木曜日

ベネズエラ深刻な物不足

現地からの報道によると、ブラジルのロライマ州ではこの2年間に約3万人のベネズエラ人が流入。ブラジル当局は不法滞在や難民申請に対応を追われて、医療施設も満杯です、公的医療機関の非常事態宣言をしています。

ベネズエラは医療品・食料品などの必需品の多くが輸入に依存しています。マドゥロ大統領は1月の年次報告で、2016年の輸入は前年比で半減したと述べました。この4年間では約70%の減少です。

物不足と歳出拡大による通貨供給量の急増によって、昨年のインフレは800%に達し、今年は4桁になると予測されます。

残飯を探す人々

ベネズエラ中央大学などの調査によれば、人口の30%に当たる約960万人は、1日3回の食事が取れていません。メディアは自然発生的な暴動・略奪・残飯を探す人々の姿を報じています。同国に38年間在住している、画家の小谷氏は、医療の荒廃で病気になれば終わり、軽い病気でも重病になると語っています。

マドゥロ大統領は、物不足の原因である輸入急減を認める一方、危機は政権打倒を狙う米国や右派の経済戦争のせいだと主張してきました。生産を怠り、物資を隠蔽していると非難しています。政府は食料や薬を安価に供給する地域委員会を組織して対処してきましたが、事態は好転せず、ついに25日、国連機関に支援を求めることを発表しました。

輸入急減の理由は、外貨を節約し、1000億ドル以上に及ぶ対外債務の返済を優先するためです。外貨準備高は2年で105億㌦に半減。返済額は毎年、国営石油企業の分を含め100億㌦に上り、債務不履行の影がつきまといます。

対外債務はチャベス時代の04年から13年に5倍になりました。原油高による膨大な収入をあてに債務を重ね、歳出を拡大してきたのです。

チャベス前政権は生産拡大などを目的に1000社以上を国有化しましたが、専門知識に乏しい経営陣の配置などもあり、多くのところで経営が乱れました。広範にわたる商品の価格統制も、生産コストに見合わないことが多く、民間部門の生産意欲を低下させる要因になりました。

マイナス18%

危機の引き金となったのは原油価格の急落ですが、経済の行き詰まりは以前から指摘されていました。基幹産業の急激な生産低下や資材不足による製造業の相次ぐ閉鎖。

政府は危機打開のためにさまざまな政策を打ち出していますが、事態の悪化が続いています。経済成長は14年から連続して落ち込み、昨年はマイナス18%と報じられています。

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