2017年3月14日火曜日

脳を刺激するだけで言語習得、試験勉強が一瞬で可能に

知識を脳にインストールするといえば、思い起こされるのが映画『マトリックス』の1シーンだろう。主人公のネオに直接カンフーの技術がインストールされ、瞬く間にカンフーの達人になる場面だ。こんなことが実際に起こるというのだろうか?

英紙「The Telegraph」(3月1日付)によると、米航空機製造会社「ヒューズ・エアクラフト」の研究機関「HRL Laboratories」のマシュー・フィリップス博士らは、学習機能を格段に向上させる技術の開発に取り組み、素晴らしい研究成果を得たという。その成果の一端がこの度、科学ジャーナル「Frontiers in Human Neuroscience」掲載の論文で明らかになった。
 
博士らは、熟練したパイロットが飛行機を操縦している時の脳内電気信号を研究。その電気信号を素人の脳に電極付きのヘッドキャップを通して送り込み、フライトシミュレーターで操縦技術を学習させたところ、電気刺激を受けなかった被験者よりも学習が早く、課題を33パーセント増でこなしたという。フィリップス博士が興奮気味に語っている。

「我々の開発した脳刺激システムは画期的です。まるでSF映画のようですが、このシステムには膨大な科学的な基礎があります」(フィリップス博士)

「何かを学ぶと脳が物理的に変化します。ニューロン結合が形成され強まるニューロン可塑性がそれです」

フィリップス博士によれば、会話や記憶といった機能は脳の小指サイズほどの領域に集中しており、この部分を刺激することで、将来的に車の運転技術や言語の習得、果ては試験の予習にまで拡張できるという。

「我々が発見したのは、脳への刺激が学習能率の上昇に極めて効果的ということですが、メソッド自体は古いものです。4000年前の古代エジプト人は電気魚の刺激を使って体の痛みを和らげていましたし、有名なベンジャミン・フランクリンも電流を自身の頭に流していました」

記憶力や学習能力といった精神的機能は先天的なものと思われがちであるが、実際はトレーニング次第で大きく変化する。英紙「The Guardian」(3月8日付)が報じた研究でも、記憶力に自信が無い人でも長期間の暗記トレーニングを繰り返すことで記憶力を向上することが分かったという。

ズバ抜けた暗記力を持つ人々は、脳の「デフォルト・モード・ネットワーク」の結びつきが著しいが、このネットワークは長期的に変化する可塑性を持っているとのことだ。すると、「EMS(電気的筋肉刺激)」が筋肉の維持に使用されるように、脳に電気刺激を流し続けていれば記憶力の維持や向上も望めるかもしれない。
 
AIの幾何級数的な進歩に人類は圧倒されてきたが、どうやら我々の脳にもまだまだ発展の余地があるようだ。最新の研究では脳には従来の100倍の計算能力があることも判明している。
トカナより

0 件のコメント:

コメントを投稿

日産ケリー前代表取締役の保釈決定 保釈金7000万円 東京地裁

金融商品取引法違反の罪で起訴された日産自動車のグレッグ・ケリー前代表取締役について、東京地方裁判所は保釈を認める決定をしました。検察はこれを不服として準抗告するとみられますが、裁判所が退ければ、ケリー前代表取締役は早ければ25日にもおよそ1か月ぶりに保釈される見通しです。一方、...