2016年6月26日日曜日

英国EU離脱でグローバリゼーションの時代は終わり、「乱世」が始まる

英国のEU離脱で欧州は分裂する


今週は、いよいよ本日開票が行なわれている英国のEU離脱につきまして、お話ししたいと思います。

2016年6月23日、英国が欧州連合(EU)を離脱すべきかどうかを決めるための国民投票が実施されました。直前の調査では、残留派と離脱派が、ほぼ拮抗している状態が続いています(編集部注:日本時間24日午後、イギリスのEU離脱が決定)。

まず、残留を支持しているのは、与党・保守党のキャメロン首相をはじめ、最大野党・労働党の多くの議員、それに、第3党のスコットランド民族党の大半の議員がEU残留を支持しています。経済界では、当然海外との取り引きの多い大企業や大手銀行が残留を支持しています。また、これも当たり前なのでしょうが、EUの助成金を得たり、共同研究や人事交流の盛んな大学や研究機関、研究者、学生の多くも残留派で、結果的に都市部エリートに残留派が多く見られます。

一方、離脱派の代表的人物は、先週も多くのコメントを取り上げたロンドン前市長のボリス・ジョンソンです。同じく政界では、与党・保守党のジョンソン下院議員や、キャメロン政権のゴーブ司法相、右派政党、イギリス独立党のファラージュ党首などが中心となっています。

離脱派は、主に移民政策やEUへの拠出金、国の主権について離脱の利点を主張しています。英国への移民は、この数年はわかっているだけでも毎年18万人がEU加盟国から流入して、恩恵以上に問題点が多く、国民の間で不満や懸念が強まっています。このままEUが拡大し、トルコもEUになれば、中東から多くの移民がイギリスにやってくるのは、間違いありません。

離脱派は、移民の流入を管理するには、EUからの離脱しかないと訴えていて、それは大陸ではない「島国イギリス」だから、可能であることが重要です。これにより、移民の流入が制限できれば、国民の社会保障費の負担が減り、雇用環境から医療、さらには交通渋滞までもが改善するとしています。

今週、ロイターは、米大統領選の共和党候補指名を確実にしたドナルド・トランプの躍進と、英国のEU離脱(ブレグジット)を主張が、とても似ているとの記事を掲載しました。表題は「英EU離脱派底流にトランプ主義と共通する価値観」とし、「そこにあるのは、ナショナリズム、美化されたノスタルジア(懐古趣味)、エリートへの不信感、移民が犯罪を持ち込み、雇用を奪うという警戒心だ。これを「トランプ抜きのトランプ主義」とでも呼ぼう」と、書いています。

そして、このメールマガジンを執筆している6月24日13時(日本時間)、BBCによれば、離脱支持票が過半数となり勝利する見通しとなったと報じています。1973年に前身の欧州共同体(EC)参加以来、ついに43年にわたる英国のEU加盟に終止符が打たれることになりました。インディペンデンスデイ! と声高々に離脱派は、叫びあげています。ドイツに次ぐ、域内2位の経済大国である英国の離脱で欧州は分裂します。現在、1ドル99円。世界経済が、いかに脆いのか実感します。

これは、英国ならず、またEUならずとも、世界の大きなターニングポイントになるのかもしれません。本日を境に、グローバリゼーションの時代が終わり乱世がはじまります。それは、ロボティックス時代の幕開けだとも、僕は思うのです。 MAG2NEWSより

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