【Q】 新卒で4月に入社し、3カ月の試用期間中です。雇用保険は入っていますが、社会保険には加入していません。残業代は支給されず、「試用期間中は研修扱いになるので残業代は出ない。いやなら本採用しないこともできる」といわれました。 (20代・男性)
【A】 試用期間であっても労働契約は成立しており、試用期間中の解雇や本採用の拒否は安易にはできません。
試用期間とは、使用者が労働者を本採用する前に、実際の業務を通じて、採用時には判断できない適性や能力などを見極めるために設けられるものです。
法律上、試用期間について明確に定めた規定はありません。ただ、その性質について裁判所は「解約権が留保された労働契約」であると判断しています。
そのうえで、試用期間中の解雇や本採用の拒否ができるのは、採用決定時に知ることができなかった、あるいは知ることが期待できないような事実が判明し、その労働者を引き続き雇用するのが適当でないと判断することが、試用期間を設定した趣旨・目的に照らして客観的に相当である場合に限られる、としています。解雇に準じた慎重な扱いが求められるということです。
試用期間だから残業代や社会保険が適用外というのも問題です。試用期間でも通常の労働者と同様に労働基準法の規定が適用されますので、残業代の不払いは法違反となります。健康保険や厚生年金も、一定の例外を除いては、その会社で働き始めたときから一般被保険者として加入が義務付けられています。
なお、一部で、解雇リスク回避のために試用期間の代わりに有期の雇用契約で採用する事例が見受けられますが、試用のための契約期間の細切れ化は許されません。実質的に試用期間であると判断し得る実態があれば、契約満了だけを理由にした雇い止めはできないという裁判例もあります。前述のような合理的な理由と社会的な相当性が必要ということになります。
会社に是正を求めても動きがなければ、社会保険については年金事務所に「被保険者資格の確認請求」をすることができます。残業代については労働局・労働基準監督署に相談してください。同期入社の方がいれば一緒に行動することも考えてください。お近くの連合でもご相談に応じます。(フリーダイヤル0120・154・052) (連合企画局・山根正幸) 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年6月11日土曜日
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