2016年6月3日金曜日

錦鯉の養殖技術を中国に教えれば新幹線技術の再来になる

「泳ぐ宝石」とも呼ばれるニシキゴイの日本から中国への輸出が4月末、再開された。平成15年に日本国内でコイヘルペスが発生したのを受け、中国が輸入禁止して以来、13年ぶりとなる。輸出再開の背景には、中国で高級魚を買い求める富裕層の急増もあるが、実は日本の持つ高度なニシキゴイの養殖技術を中国国内へ流入させたいという思惑の方が強いようだ。

緩和された検疫条件?

農林水産省によると、ニシキゴイの輸出を認めたのは、主要産地の新潟をはじめ、岡山、広島、福岡にある計6養殖施設。中国政府の担当者が昨年6月に日本の主要養殖施設を査察し、衛生条件などが整備されたことを確認した。農水省はこれ以外の養殖場から輸出できるよう中国との協議を継続する方針だ。

日本は中国政府と22年から輸出再開に向けた協議をしていたが、中国は当初、検疫サンプル数を日本が欧米などへ輸出する場合(30匹)の約5倍の150匹以上とすることや、コイが直接感染しないとされる病気も検疫対象に加えることなど、かなり厳しい検疫条件を突きつけた。これに対し日本側は「条件が厳しく、中小の養殖業者は対応できなくなる」などと反発。条件緩和を求めていた。

だが、交渉を続けるうちに、中国国内でのニシキゴイ需要が急増。結局、中国政府は対応を軟化させ、最終的な検疫条件は一般的な国際ルールにのっとることで落ち着いた。「中国側も国内の消費者の要望を受け入れたということではないか」(農水省関係者)と推測するのは当然だ。
品評会やオークションで中国人が大量買い付け
 
ニシキゴイは、約200年前に新潟県の山村で食用のマゴイが突然変異で色が付いたのが発祥とされる。観賞用として改良が重ねられ、大正3(1914)年の東京大正博覧会に出品され話題となった。

海外輸出は30年ほど前に始まり、農水省によると、平成27年の観賞魚の輸出額は約37億円で、10年間で約2倍に拡大。国産ニシキゴイの7~8割が海外向けで、現在は40カ国以上に輸出されている。高いものは1匹数千万円で取引され、最大の輸出先は香港(輸出額約12億円)とされるが、「相当数が中国に流通している」(水産庁)のが実態だ。

事実、近年の日本で開催されるニシキゴイの品評会やオークションでは中国人の姿が目立つ。ニシキゴイの美しさを競う全日本総合錦鯉品評会では、中国人所有のニシキゴイが優勝することは珍しくない。オークション会場では、中国の愛好家や仲介業者が1週間ほど滞在し、数億円分のニシキゴイを爆買いする例が散見される。

こうした需要拡大を背景に、中国ではすでにニシキゴイや盆栽など、海外で人気の日本の伝統品を大量生産してビジネスにつなげる動きが活発化し始めている。特に日本産のオスとメスのペアで購入し、産卵させ養殖する業者も中国内では増えている。「日本から養殖業者が呼ばれ、中国内で行う品評会の審査員を務めたり、養殖技術を教えることもある」(新潟の養殖業者)ようで、「輸出再開を機に養殖技術の流入が進むのではないか」(同)という懸念の声が広がる。

中国産も欧米ではひそかな人気?

中国でニシキゴイを養殖する業者も増えているようだ。例えば、台湾のニシキゴイ養殖大手「欣昌錦鯉養殖場」は、中国・山東省のニシキゴイ養殖業者や学術機関と提携。将来は大量生産事業を中国に移し、共同で国際市場へ進出することを計画している。欣昌は養殖する年間約200万匹以上のニシキゴイのうち約3割を中国に、約2割を欧米、カナダなどへ輸出させている。日本企業と中国政府系企業が共同出資し、中国で養殖業を始める動きもある。

近年は欧州の景気悪化で、「中国で大量生産された安いニシキゴイもひそかな人気で、一定の需要がある」(業界関係者)こともあり、中国産の存在感も世界市場で高まりつつある。

「本当に良質なニシキゴイを生産できるのは日本だけ」と、日本の養殖業者の多くが高をくくっているように見受けられる。

だが、16年の中越地震を機に養殖業者の数は激減し、少子高齢化で養殖技術の後継問題も顕在化している。こうした根本問題の解決に動き出さなければ、ニシキゴイ市場は中国勢に乗っ取られることは間違いなさそうだ。産経ニュースより

鯉の輸出は良い事だが、養殖技術までは輸出だけはしないで欲しいものである。新幹線技術も輸出し、今は日本と中国高速鉄道分野で競争を余儀なくされている。その様な二の舞にならないようにしてほしいものである。養殖技術が中国に渡れば、日本の錦鯉の輸出はなくなることになるだけに、養殖の核心的な技術だけは中国に渡してはならない。

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