2016年6月12日日曜日

自滅への一歩を踏み出した中国 尖閣で軍事衝突なら「1週間で全滅」の指摘も

沖縄県・尖閣諸島周辺で「開戦の危機」が、にわかに高まっている。中国海軍のフリゲート艦が、接続水域に侵入するなど挑発行為をエスカレートさせたのだ。中国海軍が初の艦艇派遣に踏み切ったことで、自衛隊や米軍との軍事衝突も現実味を帯びてきた。東アジアで軍事的覇権を強める「赤い帝国」と激突した場合、どうなるのか。軍事専門家のシミュレーションには「中国艦隊は1週間で全滅」という分析もある。

「緊張を一方的に高める行為で、深刻に懸念している」「わが国の領土、領海、領空を断固として守り抜くために毅然と対処していく」

中谷元(げん)防衛相は9日、中国のフリゲート艦による接続水域内への侵入について、厳しい口調でこう言い切った。

これまでも、中国公船による尖閣周辺への侵入は、連日のように繰り返されてきた。ただ、日本の海上保安庁に相当する中国海警局の公船がほとんどで、軍艦が姿を見せたことはなかった。

防衛省などによると、9日未明に久場島北東の接続水域に入ったのは、中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦1隻。排水量約4000トンで、ロケット砲や艦対空ミサイルなどを装備する最新型の戦闘艦だという。

海自護衛艦「せとぎり」は事前に、「このままだと、わが国の領域に入る」とフリゲート艦に何度も警告していた。

軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「今回は『軍部の暴走』という言い訳は通用しない。このまま中国側の挑発が激化すれば、尖閣周辺での局地戦が勃発することもあり得る。中国海軍の艦艇派遣で、自衛隊も艦艇投入に踏み切る大義ができた」と語る。

中国軍艦が今後、接続水域を越えて、海の領土である領海へ侵入すれば、日本政府は自衛隊に海上警備行動や防衛出動を命じて対応する。

制服組自衛官のトップ、河野克俊統合幕僚長も記者会見で「相応の対応は取っていく。一般論としては、海上保安庁で対応できない場合は海上警備行動をかけたうえで、自衛隊が対応する仕組みになっている」と述べた。

海上警備行動の場合、武器使用は「正当防衛」か「緊急避難」に限定されるが、防衛出動の場合、自衛隊には自衛権に基づき必要な「武力の行使」が認められている。

もし、中国側が戦端を開いたら、どうなるのか。

前出の世良氏は「有事となれば、海自佐世保基地から8隻の護衛艦からなる第2護衛隊群が急派される。航空自衛隊那覇基地からはF15戦闘機30機程度が、空中戦に備えて出撃するだろう。他の基地のF2戦闘機が応援に駆けつける事態もあり得る」といい、続けた。

「後方支援に回るのが、米海軍の第7艦隊だ。米原子力空母『ロナルド・レーガン』に加え、イージス艦など10隻、原子力潜水艦3隻が出動するはずだ。中国側は東海艦隊が前線に投入される。駆逐艦やフリゲート艦、潜水艦など50隻が所属する艦隊だが、自衛隊と米軍との戦闘力の差は歴然だ。1週間で東海艦隊が全滅する事態もあり得る。中国は『自滅への第一歩』を踏み出したともいえる」

中国は南シナ海に続き、尖閣諸島を含む東シナ海でも軍事的覇権を強めている。日中中間線付近には軍事拠点化が懸念される海洋プラットホームを次々に増設している。一線を越えた隣国に対し、日本も相当の覚悟が必要といえそうだ。

静岡県立大特任教授で軍事アナリストの小川和久氏は「まだ、中国が完全に牙を剥いたという段階には入っていない。今回の挑発は、10日から17日まで、沖縄東方海域などで行われる日米印共同訓練『マラバール2016』をにらんで、中国側がメッセージを発したと捉えるべきだろう。今後も日中間で、こうした駆け引きが続くはずだ」と指摘する。

今回の中国の暴挙に対し、日本政府の動きは早かった。外務省の斎木昭●(=隆の生の上に一)事務次官は9日午前2時ごろ、中国の程永華駐日大使を外務省に呼び出して、厳重抗議した。

前出の小川氏は「官邸は異例の早さで対応した。中国側に極めて強いメッセージを発した。これまでのところ、日本側の対応は適切だったといえる。中国側も、日米と衝突すれば大変なことになると分かっている。海上自衛隊に海上警備行動が発令されるギリギリのところで挑発を続けるだろう。日本側は今後、防衛力の整備を進めるのとともに、海上保安庁の予算を拡大し、領海に関する法改正を早急に進める必要がある」と語った。 夕刊フジより

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