戦後続いていた統制価格が撤廃され、清酒業界に自由競争の波が押し寄せようとする60年ごろ。同社は新たな需要を掘り起こすため、当時の長部文治郎社長が、一升瓶ではない「コップ入りの清酒」を提案した。だが、コップ酒は「安酒」のイメージもあり、社内では賛否両論が巻き起こり、なかなかまとまらなかった。
問題の一つが名前だった。役員の一人は英会話の練習中に思いついた「ワンカップ」にすべきだと主張。長部社長は「日本人ならコップと呼ぶ」と「ワンコップ」がいいと対抗する。そのころ、東京でワンコップスタンドという立ち飲み店が繁盛しており、「ワンコップは安いコップ酒のイメージになる」との意見が説得力を持つようになり、長部社長は折れ、ワンカップに落ち着いた。若年層や東京五輪で訪日する外国人も意識して、英語で表記された。
発売当時は180ミリリットル入り85円。現在は100〜300ミリリットル入りの11種類(消費税別100〜254円)をそろえる。他社の類似商品はワンカップの呼称は使えない。同社は「ワンカップはカップ酒市場を切り開いた。清酒を手軽に飲める『入門酒』としてもアピールしたい」と話している。毎日新聞より
0 件のコメント:
コメントを投稿