2008年のリーマン・ショック時にロシア経済を下支えた、石油や天然ガスの税収を基盤とする露政府の基金が19年にも枯渇する見通しであることが明らかになった。財政赤字を補填(ほてん)するための基金からの支出に歯止めがかからないことが原因だが、資源収入頼みの経済政策の行き詰まりが背景にある。欧米の制裁で基金に要請が急増している企業支援も困難になる可能性があり、プーチン政権にも痛手となりそうだ。
露政府は石油・ガスの採掘・輸出税収が潤沢な際にその一部を積み立てており、赤字補填に使う「予備基金」と、景気刺激策に利用する「国民福祉基金」の2つの国家基金を抱えている。ロシアはリーマン・ショックの直撃で09年には経済成長率がマイナス7.9%に落ち込んだが、その後政府が実施した巨額の景気対策の原資となったのが、これらの基金だ。
しかし露中央銀行がこのほど発表したリポートによると、政府は15年1~10月に赤字の埋め合わせに予備基金から1兆5600億ルーブル(約2兆4400億円)を使い、16年にはさらに2兆1370億ルーブルを使うと予測。このペースで支出を続ければ、17年には国民福祉基金も赤字補填が必要となり、「19年初めには両者が底をつく」と指摘した。
露政府の見通しの甘さも事態の悪化に拍車をかけた。政府が昨年10月に承認した予算原案は原油価格を1バレル=50ドルに設定。現在は同30ドル台で推移し、この水準が維持されれば、石油・ガス関連の税収が想定を大幅に下回るのは確実だ。
さらに基金には欧米の経済制裁で資金調達が困難になった企業から「次々に支援要請が来ている」(日露貿易筋)状況とされる。制裁発動後、国営石油最大手ロスネフチや独立系天然ガス企業ノバテクなどが相次ぎ露政府に支援を要請。ドボルコビッチ副首相は「石油や輸送、農業分野の企業まで支援の原資として基金に言及しているが、すべてに足りる訳がない」と警告したが、企業や金融機関向けの複数の支援が承認されたもようだ。経営危機にある政府系の開発対外経済銀行(VEB)も、基金からの支援が見込まれている。
融資は返済を前提としているが、金額が増大すれば基金の運用が圧迫されるのは必至。基金の存続が困難になれば国家による企業支援も難しくなり、露経済には大きな痛手となる。
夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年1月11日月曜日
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