北朝鮮で約1年半拘束され昏睡(こんすい)状態で解放された米バージニア大学生、オットー・ワームビア氏(22)が19日、死亡した。トランプ大統領は北朝鮮政府を「残忍だ」と非難するなど、米国内で反発が強まっている。現在も拘束されている米国人3人が解放されない状況では、核とミサイル問題の解決に向けた交渉の可能性が遠のいている。
「(今回の事件で)無実の人がこのような悲劇に遭わないようにする決意を新たにした」。トランプ氏は同日の声明で、北朝鮮体制は残忍だと非難。ホワイトハウスの会合では「(問題に)対処する」と語った。
ワームビア氏解放の陣頭指揮をしてきたティラーソン国務長官も同日、「北朝鮮にワームビア氏を不当拘束した責任を負わせる」とする声明を発表。残る3人の解放を強く求めた。
米政府は、ユン北朝鮮政策特別代表がノルウェーやニューヨークで北朝鮮高官と接触し、ワームビア氏の解放を求めてきた。
米ウォールストリート・ジャーナル紙によると、リチャードソン前ニューメキシコ州知事がこの1年あまりの間に約20回、ニューヨークで北朝鮮当局者と接触し、米国人の解放を求めていたという。また昨年9月にはワームビア氏の解放を実現するため、リチャードソン氏の代理を平壌に派遣したとも伝えた。
米政権は北朝鮮への圧力強化とともに対話の可能性も探り、北朝鮮当局者と接触していたことで、「核・ミサイル問題の本格交渉につながる」(外交筋)との期待もあった。だが、ワームビア氏が昏睡状態で解放され、「最悪の結果」(共和党のポートマン上院議員)となった。共和党のマケイン上院議員は「金正恩(キムジョンウン)体制に殺された」と指摘するなど、北朝鮮当局への批判は高まっている。
米政府は北朝鮮への圧力をより強めていく方針。21日にワシントンで開かれる中国との閣僚級による「外交・安全保障対話」では、中国側に北朝鮮への影響力行使を迫る構えだ。
一方、北朝鮮は同氏の解放後も米国への批判を継続し、態度を軟化させる動きを見せていない。 朝日新聞より
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2017年6月21日水曜日
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