2017年6月24日土曜日

巨大なレーダーで2000個以上の目標探知 

日本初となる早期警戒機として1983年から配備を開始したのが「E-2C」だ。鷹が上空から獲物を狙うように、常に監視の目を光らせているということから「ホークアイ」というニックネームを持つ。
 
航空自衛隊がE-2Cの配備を決めたのは、76年9月6日発生したソ連防空軍所属「MIG-25」(ミグ25)の函館亡命事件がきっかけだった。当時は、陸上に設置する固定式のレーダーで、領空内を監視していた。だが、レーダー波は直線にしか飛ばない。地球は丸いため、水平線の陰に隠れるような超低空飛行物体を捜索するのは事実上不可能だった。

MIG-25はそこを突き、水平線スレスレの低空飛行で領空に入ってきた。自衛隊は侵入を探知できず、結果、函館空港への着陸を許してしまい、防衛庁を震撼(しんかん)させる。

そこで、日本列島をレーダー網で完全に包み込むため、地上レーダーにプラスして、E-2Cを恒常的に飛行させ、上空から下へ向けて警戒監視を行うことにした。

もともと、E-2Cはノースロップグラマン社が、空母艦載用の早期警戒機として開発した。60年に初飛行に成功し、65年には、ベトナム戦争にも投入された。

79年より調達を始め、86年に三沢基地(青森県)に警戒航空隊を新編。その下にE-2Cが配備された。特徴は機体の真上に乗せられた直径7・3メートルもある巨大なレーダーだ。高度9000メートルを飛行し、約550キロ離れた2000個以上の目標を同時に探知できる。

E-2Cが青森県を拠点としていたのは、ソ連および冷戦終結後のロシアによる領空侵犯に備えるためであった。だが、2010年以降は、中国軍機へのスクランブルが増加していく。E-2Cが必要とされる場は北から南へと大きく変わった。

そこで14年に、那覇基地に新しくE-2C部隊が新設された。この増勢に伴い、最新バージョンの「E-2D」を追加配備することが決まった。15年から調達が開始され、18年には最初の1機が引き渡される予定である。

米軍では現在、E-2Dとイージス艦や空母艦載機をリンクさせ、水平線の向こうの敵を発見し攻撃する「NIFC-CA」(ニフカ)という新しいコンセプトが期待されている。

海上自衛隊も、遠距離の敵と戦うのは、これまで困難とされてきたが、E-2Dをイージス艦の目として使うことができれば、早い段階から敵の戦闘機やミサイルの迎撃ができ、戦闘を優位に進められる。

ただし、E-2Dはあくまで空自の装備であり、日本でもNIFC-CAを導入するならば、自衛隊の統合運用をより強化しなくてはならないだろう。 夕刊フジより

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