天皇の生前退位にともなう「新元号」とともに注目を集めているのは、上皇・上皇后と呼称が変わる天皇・皇后の「住居」だ。宮内庁担当記者がいう。
「両陛下は退位後、皇太子一家が現在住まわれている東京・赤坂の東宮御所に移られる案が有力です。その際の名称は『仙洞御所』となる予定です」
だが、まだ諦めていないのが京都市だ。特例法成立を受け、京都市の門川大作・市長は6月12日の定例記者会見で「上皇となる天皇陛下にできるだけ長く京都に滞在していただくことを以前から念願している」と語った。同市は2013年5月から、将来的な皇族の京都在住や一部皇室行事の京都開催を目指す「双京構想」を掲げており、会見では改めて国へ要望する考えも示した。
すると対抗するかのように、14日には奈良県の荒井正吾知事も「神武天皇以来ゆかりある父祖の地で心身を休めていただけるよう貢献できれば」と退位後に過ごされる離宮建設プランを語った。今後も上皇の〝招致〟を巡る古都の争いは続きそうな気配だ。
京都は古来から天皇の御座所であり、平安遷都(794年)から明治維新(1868年)までの約1000年の間、代々の天皇は京都で国と国民の安寧を祈り続けてきた。京都御所には明治天皇が一時期生活していた若宮・姫宮御殿もある。
宮中祭祀に詳しい国際日本文化研究センターの山折哲雄・名誉教授はこう話す。
「京都には幾多の動乱を乗り越え、各時代を象徴する遺跡や伝承が残されている。退位後にその歴史ある土地に戻るのは自然な流れではないでしょうか」
それでも天皇・皇后の退位後の住まいが東宮御所になる背景にはこんな事情があるようだ。
「天皇陛下は新天皇や皇后に気を遣わせぬよう『近くに居ない方がいい』というご意向を持っていたといわれます。一方、美智子さまは慣れ親しんだ東京を望まれたのではないでしょうか。しばしば皇居に“里帰り”する娘の黒田清子さんから遠くなってしまうという事情も考慮されたのかもしれません」(宮内庁関係者)
去る4月、天皇の学友である明石元紹氏に皇后から電話がかかってきたという。
「皇后さまから電話をいただくのは、『平成』に入ってから初めてでした。『退位後は昔長くいたところで暮らすことになるでしょう』という旨をおっしゃっていました。かつて皇太子妃時代、私が東宮御所に伺った際には、英国のポロと同様に馬に乗って紙の球を打つ古式馬術の打毬をご一緒したことがあるのですが、電話の時もその話をされて、『また一緒にやっていきましょう』とおっしゃっていました。今後は東宮御所での生活を望んでおられるように感じました」
京都移住の可能性はかなり低そうだが、京都市民はどう受け止めているのだろうか。『京都ぎらい』(朝日新書)の著者で国際日本文化研究センター教授の井上章一氏の話。
「祇園祭に関わる京都の人に『どこまでが京都か』と問うと『北は御池通りまで』という人も多い。京都御所は御池通りより北にあります。いわば“京都の外れ”なのです。実際に上皇がそんなところにいらっしゃると期待していた人間は少ないのではないでしょうか」
力が入っているのは京都市長と市役所だけだったのか? 週刊現代より
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年6月23日金曜日
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