2017年6月29日木曜日

「深夜の走り屋」金正恩氏が幹部に下す恐怖の指示

北朝鮮の老幹部たちの間で、ある「習い事ブーム」が起きているという。金正恩党委員長のちょっとした一言がきっかけとなったものだ。

自分の思い通りにならないことに対し、金正恩氏がどのような極端な行動に出るか、その恐怖を最も身に染みてわかっている幹部たちである。慣れない習い事に四苦八苦しているようだ。
女子大生を拷問
米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、平壌を頻繁に訪れるという中国のビジネスマンの話として、金正恩氏が高級幹部に次のような趣旨の発言を行ったと伝えた。

「車の運転もできず、パソコンもできない人は21世紀の文盲」

この言葉をきっかけに高級幹部たちは、一斉に車の運転とパソコンの学習に乗り出した。確かに発言の主である金正恩氏は車も運転し、パソコンも使いこなしているようだ。

平壌市民の間では、「元帥様(金正恩氏)が、夜中にこっそり専用ベンツに乗って平壌市内をドライブしている」という噂が広がったことがある。実際、北朝鮮国営メディアは金正恩氏が自らハンドルを握って建設現場を訪れたエピソードを紹介した。日頃の執務のストレスを発散させるため、夜な夜な平壌市内をドライブしているのだろうか。

また、金正恩氏が米国ブランド「アップルコンピュータ」を愛用していることは、これも国営メディアの写真から確認できる。ちなみに父親の故金正日総書記が15インチのMacBook Proを愛用していたことは、保存されている遺品からも明らかだ。

平壌出身の脱北者であるイさんはRFAに「若い金正恩氏の目には、運転もパソコンもできない幹部がもどかしく見えたのだろう」と語った。

なによりも、今の北朝鮮では急速に携帯電話、そしてスマートフォンも普及している。個人所有が認められていない車はハードルが高いが、パソコン、スマートフォンなどのデジタルデバイスなら一つや二つぐらい使いこなすのは当たり前になりつつある。

とりわけ若者たちは、こうしたデジタルデバイスを駆使して、違法の韓流ドラマや外国動画などを視聴する。韓流ビデオをめぐっては、ファイルを保有していた容疑だけで女子大生が過酷な拷問を加えられたケースもあるが、それでも流入と拡散がとまらない。
庶民ジョークのネタに
ただし、年配の幹部たちにとって車もパソコンも非常にハードルが高いようだ。そもそも彼らが若い頃はパソコンなどなかった。車に触れる機会もなかった。

また、北朝鮮では運転免許を取得するのは至難の業だ。北朝鮮でドライバーは専門職に近い。運転免許を取得するには、運転技術のみならず、車の構造から修理方法まで覚えなければならないからだ。

だからと言って、最高指導者の指示をないがしろにするわけにもいかず、幹部たちはとりあえず車の運転とパソコンを習うふりをしているという。

これまで、こうした命令や指示の類はほとぼりが冷めれば、忘れられるのが北朝鮮の常だった。情報筋も「高級幹部たちは習うふりだけして、本気でマスターする気はないだろう」と見ている。

しかし、もしサボっていることが発覚し、金正恩氏に報告されようものなら、どんな酷い目に遭わされるかわからない。金正恩氏は、スッポン養殖工場の管理不行き届きに激怒し、その後支配人を銃殺させるほど、幹部たちのほんの小さなミスを許さず、極めて些細な理由で粛清・処刑を行ってきたからだ。

北朝鮮の庶民らは、風刺ジョークで金正恩氏を皮肉るが、「パソコンが出来なかったから死刑」などという新たなジョークが生まれなければいいのだが。デイリーNKジャパン

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