韓国政府から見捨てられた人々の怒りが、文在寅政権を誕生させた。そして今、彼らは国の行く末についてどのような思いを抱いているのか。膠着する日韓関係をどのように見ているのか。新聞やテレビでは報じられない肉声を現地で聞いた。
文大統領の喫緊の課題として、「国内経済の立て直し」と「生活困窮者の救済」を訴える声が多かった。
ソウル市中心部の光化門広場で雑誌の路上販売を行う60代男性は、経営していたネジ工場が不況で倒産。その後しばらく路上生活を経験したという。
「教会で行われる炊き出しには今でも300人もの人が集まります。私は雑誌を売る仕事を得て何とか食いつないでいますが、韓国政府はもっと生活困窮者に目を向けてもらいたい」
文大統領は今後、10兆ウォン(約1兆円)を費やし「80万人の雇用を創出する」と明言。だが、現在も路上生活を続ける70代男性は呆れ顔でこう吐き捨てた。
「10兆ウォン? そんな財源がどこにあるというんだ。朴槿恵政権も月20万~30万ウォン(約2万~3万円)の公的年金を70万ウォン(約7万円)に引き上げると言っていたが、それすら実現できないじゃないか。文大統領はもっと現実的な政策を打ち出すべきだ」
生活苦に喘ぐのは若者も同様だ。韓国の若年層(15~24歳)失業率はいまや10%を超え、大学を卒業しても簡単には就職できない。アルバイトをしながら職を探すにも、最低賃金6470ウォン(約650円)の時給では、物価の高騰が著しい韓国で暮らすのは困難だ。20代の大学院準備生が嘆息する。
「一時は就職も考えましたが採用されるのは経験者ばかり。もはやこの国では、自分のやりたい仕事が見つかりません」
このように、国内に燻る不満を解消するため、韓国歴代政権は例外なく「反日」を“ガス抜き”の材料に利用してきた。日韓慰安婦合意の見直しを主張し、対日強硬姿勢をアピールする文大統領が日本に牙を?くのも時間の問題であろう。
今回の取材では、延べ100名を超える韓国国民に話を聞いたが、その中には記者が日本人であることを知った途端、掴みかからんばかりの剣幕で罵詈雑言を浴びせてくる老人もいた。豊臣秀吉の朝鮮出兵を持ち出し、「日本人に話すことは何もない!」と、取材を拒否されるケースもあった。
文大統領が主張する慰安婦合意の再交渉については、「日本はやったことを素直に謝れば良いのに、(韓国政府は)なぜあのような中途半端な形で妥協してしまったのか。文大統領が再交渉を唱えるのは当然だ」(60代男性)と、韓国政府への苛立ちを滲ませる人もいた。
竹島問題にいたっては、「独島が韓国領であることは明白」(70代男性)と、どの韓国人も一歩も譲る気配はない。
ただし、ステレオタイプな「反日」を口にするのは主に70歳前後の高齢者で、若い世代は日韓関係の改善を望む声が大半を占めた。
ソウル市内で写真館を営む50代男性は、「慰安婦合意を蒸し返すのは間違い」と断言したうえで、「両国の経済発展のため、関係改善を急ぐべき」と訴える。
また、ソウルで日本人留学生に韓国語を教える20代女性も、「日本人と心から仲良くしたい。国同士の綱引きはもううんざり」と、反日の政治利用に嫌悪感をあらわにした。
国内外に山積みの課題を抱え、前途多難な船出となった文新政権。国民の声なき声を真摯に受け止めることができるのだろうか。 NEWSポストセブンより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年6月23日金曜日
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