2017年2月10日金曜日

中国の臓器市場に注目 臓器取引と移植ツーリズム、バチカンで議論

国は10年前から、国家主導で収容者から強制的に臓器を摘出しているとの疑いが持たれている。このたび、バチカン市国では国際的な臓器移植サミットが開かれ、中国代表団は疑惑の臓器調達システムを「見直した」ことをアピールした。いっぽう、生命倫理の専門家らは「いまだに中国は収容者の臓器を奪取している」と指摘している。
 
国際的な調査によると、臓器強制収奪の犠牲者の多くは、死刑囚ではなく、弾圧政策以後に大量に拘束され行方不明になった法輪功学習者や、ウイグル人、チベット人、地下教会信者など、共産党政権において「不都合な」人物であり、大多数は無実の人々「良心の囚人」と考えられている。

中国での臓器収奪停止 EOP国際ネットワーク(EOP)によると、中国衛生部は公式発表で移植手術は毎年1万件としているが、専門家は、少なくとも毎年6万~10万件と指摘。中国の収容所は「生きたドナーバンク」となっており、多くの移植手術用の臓器は「良心の囚人」から奪取されたものだという。また、臓器を摘出された身体は焼却されており、大量虐殺の証拠は隠滅させられていると主張している。

「過去を蒸し返すな」中国、臓器調達システム改革をアピール

中国代表団は今回、収容者の臓器利用という国際的な批判の声に応じた。すでに臓器移植にかかる違反者を数十人の逮捕し、18の医療機関を閉鎖したが、いっぽう新たな臓器調達システムを構築したと主張した。

バチカン市国で2月7日と8日に開かれる臓器取引と
移植ツーリズムの国際サミットに際し、ローマ教皇
フランシスコのメッセージが公開資料に記載。
同氏は臓器不正取引は「人身売買で現代の奴隷制」
と強く非難した(スクリーンショット)

一団は、医師、法律家、衛生専門家らからなる約80人で、元中国衛生部副部長(副大臣)で中国臓器提供移植委員会元代表の黄潔夫移植医が代表。「今回の旅は、中国の声を届け、中国の新しいプログラムを世界に紹介するためのものだ。過去の話を再び持ってくるべきではない」と同会議で主張した。

また、黄潔夫代表は「中国は数年後、倫理面には異論の余地のない形で、臓器移植世界一の国になる」と強弁を張った。

中国衛生部によれば、2015年に国内の移植臓器は、死刑囚または収容者からの使用を停止したと主張しているが、国際的な医師団「強制臓器摘出に反対する医師団(DAFOH)」は7日の声明で、「強制臓器摘出が中国で行われていないという証拠はない」「その逆で、継続しているという証拠がある」と指摘。
 
中国の臓器調達システムの詳細は明らかにされていない。DAFOH事務局長トルステン・トレイ(Torsten Trey)医師は、「透明性がなければ改革を確認することは不可能だ」と述べ、過去を考慮するよう付け加えた。

中国の臓器研究とその出所源の不透明さから、研究論文を取り下げた例がある。サイエンス・ジャーナルは6日、張シュウセン博士が共同執筆した肝臓に関する論文は、囚人のデータに依存しているとの懸念から、肝臓国際誌「レイバー・インターナショナル」から取り下げられたと報じた。

臓器取引サミット 論議は生命倫理か 政治論争か
 
中国の移植臓器の出所源の不透明さを指摘してきた医師や弁護士ら11人が、同サミット開催に際して主催団体「ポンティフィカル・アカデミー・オブ・サイエンス(Pontifical Academy of Sciences)」宛てに書簡を送った。

署名したのは、マサチューセッツ工科大学のウェンディ・ロジャーズ(Wendy Rogers)博士、ニューヨーク大学ランゴン医療センターのアーサー・カプラン(Arthur Caplan)教授、カナダの人権弁護士デービッド・マタス氏、同国政府元高官デービッド・キルガー氏、中国新疆ウイグル自治区の元外科医エンヴァー・トフティ(Enver Tohti)氏など。

11人は主催者側に対して、移植システムが見直されたという中国側の主張を否定し、「中国が臓器システムを『改革した』と誤った情報を広めるためにサミットが利用されてはならない」と訴えた。いっぽう、主催者系列の科学アカデミーの教授マルセロ・サンチェス・ソロンド(MarceloSánchezSorondo)教授は、「学問探求の場であり、論争となる政治的な主張がされる場ではない」と述べている。

ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに応じたロジャース博士は「政治性があるから議論しないというのは誤り」 「まず中国側から臓器強制摘出をしていない、ということを証明するべき」とソロンド 教授に反論した。

フランシス教皇は7日、自身の公式ツイッターで「奴隷制度の新しい形」として、不正な臓器取引を強く非難するコメントを出した。 大紀元日本より

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