2017年2月5日日曜日

トランプ大統領、入国禁止差し止めた判事に暴言 司法の独立に暗雲

米政府当局は4日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が出して物議を醸しているイスラム圏7か国出身者の入国禁止令の一時的な施行停止を開始した。トランプ大統領にとっては手痛い法的敗北となる。
 
米政府当局と米航空各社は、米西部ワシントン(Washington)州司法長官が提訴した裁判が決着するまでの間、暫定的に大統領令の差し止めを命じたシアトル(Seattle)連邦地裁の判事の判断を受けて、トランプ大統領令により無効化された7か国出身者のビザを認めるとともに、トランプ大統領令の施行を停止した。

法的後退を喫したことで刺激されたとみられるトランプ大統領は4日朝、大統領令差し止めを命じた連邦地裁判事を攻撃した。現職大統領としてはほとんど前例のないことだ。

フロリダ(Florida)州で自身が経営するリゾート施設、マーアーラゴ(Mar-a-Lago)に3泊の予定で滞在中のトランプ大統領は「この、いわゆる判事の意見は本質的にわが国から法執行というものを奪うもので、ばかげており、覆されるだろう!」とツイッター(Twitter)に投稿した。

共和党のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)元大統領に指名されたシアトル連邦地裁のジェームズ・ロバート(James Robart)判事が3日、イスラム圏7か国出身者の入国を禁止する大統領令を暫定的に差し止める命令を出したことを受けて、米政府当局は4日朝までに判事の命令の履行を開始した。
 
■ほぼ前例のない判事への個人的攻撃

大統領による今回の発言は今後さらなる物議を醸すとみられている。トーマス・ジェファーソン(Thomas Jefferson)第3代大統領からバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領まで米国の歴代大統領は裁判所による判決を批判したことはあっても、判事に対する個人的攻撃はほとんど前代未聞だという。

ハーバード大学(Harvard University)法科大学院の米国憲法学者ローレンス・トライブ(Laurence Tribe)教授はAFPに対し「少なくとも過去1世紀半でこのような(発言の)前例は思い出せない」と述べ、「法廷侮辱とはいえなくても、間違いなく軽蔑的発言であるといえる」と付け加えた。トライブ教授は現在の米最高裁判事2人とオバマ前大統領を教え子に持ち、後にオバマ大統領の顧問を務めた。

またトライブ教授は「(トランプ大統領の発言は)司法の独立を尊重していないことを示しており、トランプ氏が大統領の座にある限り米国の将来にとって良くない兆候だといえる」と語った。

米民主党の議員らは発言を受けてすぐにトランプ大統領を非難する声明を出した。注目すべきことに共和党員からも大統領を積極的に援護する声は上がっていない。 AFP通信より

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