「状況悪化を招きかねない言動は、自制することが望ましい」
職務停止状態の朴槿恵大統領の代行を務める黄教安(ファン・ギョアン)首相は10日の閣議で、こう日韓双方に抑制的な対応を求め、慰安婦問題にかかわる日韓合意の精神を尊重するよう呼びかけた。
だが、公館の安寧や威厳を守る責務を定めたウィーン条約に抵触し、日韓合意にも反する慰安婦像の設置を黙認しているのは韓国側であり、日本側は合意を順守している。
韓国の中央日報も7日付の社説で「(日韓)双方とも過ちを犯している」と決め付け、こう書いていた。
「(釜山の慰安婦像は)韓国当局はこれを防ごうとしたが、爆発直前の世論に押されたのだ。これを勘案せずに直ちに日本大使召還という超強硬対応を見せたことで、日本政府は両国間の葛藤を深めた」
けんか両成敗ないし日本側が悪いという論調だが、韓国側の誤った認識に基づく世論の沸騰が、国際条約や約束より優先されるという理屈は世界で通用しない。外国が、自国の世論を勘案して当然という自己中心性には、毎度のことながらあきれる。
哲学者、ニーチェは人間のうぬぼれについて次のように指摘しているが、まるでかの国のことを述べているかのようである。
「癇癪を起こし、他の人々に侮辱を加えておきながら、その際第一に、自分のことを悪く取らないでもらいたいと要求したり、第二に、こんなに烈しい発作に襲われたのだから自分に同情してもらいたいなどと要求したりする人々がいる」
つくづく厄介な隣人だと思うが、もっと深刻な問題がある。慰安婦像設置の背景に、親北朝鮮勢力の暗躍があることはかねて指摘されているにもかかわらず、韓国政府も韓国世論もその点を軽視しているように見えることである。
それどころか、9日付の韓国紙、朝鮮日報によると次期大統領の有力候補全員の陣営が、既に設置された慰安婦像について「建てられた以上維持すべきだ」との意見であるという。
また、共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表、国民の党の安哲秀(アン・チョルス)国会議員、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長、李在明(イ・ジェミョン)城南市長らはいずれも日韓合意の無効化や再交渉を主張している。
高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備とりやめ、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄など、北朝鮮が喜ぶばかりの政策も有力候補らは堂々と掲げている。李氏は「日本は敵性国家」とも断じており、誰が大統領になるにしろ韓国の従中、反米・反日、親北の左派路線は今後、ますます強まりそうで、在韓米軍の撤退すら現実味を帯びてきそうだ。
北朝鮮の金日成主席は1980年、南北統一の方策として「高麗民主連邦共和国制」を提案し、その前提条件として(1)朝鮮半島の緊張緩和(2)米国の干渉中止(3)韓国の民主化実現-の3点を挙げた。
やはり北朝鮮の影がちらつく朴大統領の退陣を求める大規模デモが、民主化した韓国の姿だとすれば、この3つの条件はほとんど満たされつつあるのではないか。慰安婦像一つ撤去できない韓国の現状を見ても、親北勢力の暗躍、跋扈は当分続きそうである。 産経ニュースより
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