米国内で、人種間対立が激化している。白人警官が黒人を相次ぎ射殺し、各地で黒人による抗議デモが続いている。
ルイジアナ州バトンルージュで5日、黒人が白人警察官に射殺され、ミネソタ州ミネアポリス郊外でも6日、同様の事件が起こった。ルイジアナ州では、数百人が警察署前で抗議デモを行い、100人以上が逮捕された。ミネソタ州では、抗議のデモ隊が高速道路を占拠し、警官に投石するなどして102人が逮捕された。
全米各地で抗議活動が拡大するなか、テキサス州ダラスで7日、デモ警戒中の警察官を黒人が狙撃し、5人が死亡した。さらに、17日にバトンルージュで黒人が警察官3人を射殺した。
この状況は、1960~70年代に急進的な黒人解放闘争を展開した政治組織「ブラックパンサー党」の再来現象が起きていることを示唆する。
オバマ大統領も大ファンという米人気歌手ビヨンセが2月、プロフットボールの祭典「スーパーボウル」に、ブラックパンサー党をモチーフにした黒革のジャケット姿で登場し、注目された。
ブラックパンサー党は、警察官の黒人への暴力に端を発した暴動が全米都市に広まるなかで結成された。64年に黒人の公民権を認める「公民権法」が成立したが、白人の反発と黒人の巻き返しという暴力の連鎖に、米国社会は揺れたからである。一連の事件で、その連鎖が今日に至っても消滅していないことがはっきりした。
かつてと異なるのは、現在は人口動態上、白人が数の上でじわじわと追い詰められており、また、オバマ氏という黒人大統領の誕生という新たなステージを経て、白人の恐怖感と焦りが深まっていることである。白人の焦りが、白人中心の保守系草の根運動「ティーパーティー」や、ドナルド・トランプ氏を共和党の大統領候補として押し上げている原動力となっているのは間違いない。
オバマ氏は17日の事件を受けて、「法執行機関に対する暴力は何であれ正当化できない」としたうえで、「この国を分裂させるのではなく、団結させる発言と行動をすべきだ」と、トランプ氏の言動を牽制した。
米国の「分裂の危機」は解消されるだろうか-。人種間対立が激化するうえ、富の偏在による「エリート層と庶民の分裂」も深刻である。これは、次期大統領がトランプ氏になろうと、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官になろうと変わらない。米国社会の分裂の危機は継続し、米国は「世界の警察官」に復帰できないということだ。ここに「緊迫する世界」の震源地がある。夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
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