2016年7月1日金曜日

尖閣すでに戦争状態 中国機「攻撃動作」6月に複数回 空自機を正面から威嚇

東シナ海の軍事的緊張が高まっている。中国海軍の艦艇が日本の領海や接続水域に相次いで侵入していたが、ついに中国軍の戦闘機が航空自衛隊の戦闘機に攻撃動作を仕掛けてきたのだ。空中戦寸前といえる事態は、6月に入って複数回発生しているという。暴走して完全に一線を越えた中国軍。日本は現在、参院選(7月10日投開票)の真っただ中だが、政治家も国民も「今そこにある危機」を認識すべきではないのか。

「中国軍艦の領海侵犯と同じように、空でも少しずつステップアップして、それを常態化させる狙いだろう。空自機はミサイル攻撃を避ける『チャフ・フレア・ディスペンサー』(ミサイル誤誘導装置)を使ったようなので、パイロットの負担は相当だったはずだ。このまま放っておけばエスカレートして、空自機が撃墜される事態も起きかねない」

軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう指摘した。

中国機の暴挙は、元空自航空支援集団司令官、織田(おりた)邦男元空将が6月28日、インターネットのニュースサイトに「東シナ海で一触即発の危機、ついに中国が軍事行動」という記事を発表し、産経新聞や毎日新聞が29日、防衛省幹部らの証言を加えて報じ、一気に広まった。

萩生田光一官房副長官は同日の記者会見で「17日に中国軍用機が南下し、自衛隊機がスクランブル発進をしたことは事実」としたうえで、「攻撃動作やミサイル攻撃を受けたというような事実はない」と説明した。

ただ、産経新聞は30日朝刊で、政府関係者の「あれだけの距離に接近したのは前例がない」とのコメントに加えて、以下のように伝えた。

《空自機は中国機の周囲を大きく回り込み、後方から真横につけるポジショニングを試みた。中国機パイロットの顔が見える位置から信号射撃などを行い、退去を呼びかけるためだ》

《中国機は想定外の行動に出る。空自機に対し機首を向け、正面から向き合う体勢をとったのだ。織田氏は『これはいつでもミサイルを撃てる戦闘態勢で、事実上の攻撃動作といえる』と指摘する》

《空自機は不測の事態(=空中戦に巻き込まれるなど)を避けるため同空域からの離脱を図ったが、中国機はこれを追尾。空自機は敵機のレーダー誘導ミサイルなどを撹乱する装置を噴射しながら危機を脱した》

何と、こうした事案は6月に入って複数回発生しているという。

緊張状態が高まっているのは空だけではない。

中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦が6月9日、沖縄県・尖閣諸島の接続水域に侵入したのだ。中国の軍艦が尖閣周辺の接続水域に侵入したのは初めてで、約2時間20分も航行した。

さらに、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦が6月15日、鹿児島県・口永良部島の西方海域の日本を領海を侵犯した。同艦は約1時間半も領海侵犯を続けた。

日本の領土・領海・領空を守る自衛隊の現場は、極度の緊張感を強いられているようだが、参院選では浮世離れしたような議論もみられる。

共産党の藤野保史政策委員長が26日のNHK番組で、「軍事費が初めて5兆円を超えた。人を殺すための予算でなく、人を支えて育てる予算を優先させていくべきだ」と発言して、引責辞任に追い込まれたが当然だ。同党は綱領に「自衛隊の解消」を掲げ、沖縄からの米軍基地撤去まで主張しているが、一体、国民の生命と安全をどうやって守るつもりなのか。

日本の安全保障論議のひどい現状を、カエルの世界に例えた小説『カエルの楽園』(新潮社)がベストセラーとなっている作家の百田尚樹氏は29日、自身の短文投稿サイト「ツイッター」に、「いよいよ中国が軍事行動を取り始めた」と書き込み、こう続けた。

「軍艦の接続水域侵犯および領海侵犯から、どんどんスピードが早まっている。それなのに、マスコミはなぜ騒がない! 『カエルの楽園』をそのままなぞるつもりか!」

「中国はとてつもなく恐ろしい国だということを、なぜテレビは言わない! 中国は第二次世界大戦前のドイツに似ている。今も多くの人は戦争なんか起こらないだろうと思っている。しかし、第二次世界大戦が起こる一年前も、こんな大戦争が起こるとは誰も思っていなかったのだ。戦争は突然起こる」

今回の参院選では、現実的脅威を見据えた安保論議が必要だ。政府も国民も「国防」に対する意識と覚悟が求められることになる。

前出の世良氏は「(現場が脅威と感じた事案は)いつどこの空域で何があったか『5W1H』(=When、Where、Who、What、Why、Howの略)をハッキリさせる必要がある。取り返しがつかないことになる前に、日本政府は中国に対し、(領土・領海・領空を守り抜く)断固とした態度を明確にすべきだ」と警鐘を鳴らした。 夕刊フジより

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