朴槿恵大統領の友人・崔順実被告に機密文書が渡っていたと韓国メディアが報じたのが2016年の10月末。そこからわずか2か月で朴大統領が職務を停止され、大統領の職を失う可能性が現実味を帯びるなど、誰が想像できただろう。
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朴槿恵大統領の友人・崔順実被告に機密文書が渡っていたと韓国メディアが報じたのが2016年の10月末。そこからわずか2か月で朴大統領が職務を停止され、大統領の職を失う可能性が現実味を帯びるなど、誰が想像できただろう。
「映画やテレビドラマを見る気がしない。このニュースのほうがはるかにドラマチックだから」というのが、記者が取材した韓国市民の感想だ。潜んでいた“影の実力者”があぶり出され、大統領の側近らが刑事被告人に転落。大統領本人も「容疑者」と認定された。一連の疑惑はまさに「前代未聞」の事態続きで、朴大統領の退陣を訴える集会は全国で最大200万人以上(主催者発表)に膨れあがった。
市民を巻き込み韓国社会を揺るがしている疑惑は2017年、どういう結末を迎えるのか。最大の焦点は朴大統領の疑惑への関与の真相究明と、弾劾審判で朴大統領が罷免されるかどうかだ。
「映画やテレビドラマを見る気がしない。このニュースのほうがはるかにドラマチックだから」というのが、記者が取材した韓国市民の感想だ。潜んでいた“影の実力者”があぶり出され、大統領の側近らが刑事被告人に転落。大統領本人も「容疑者」と認定された。一連の疑惑はまさに「前代未聞」の事態続きで、朴大統領の退陣を訴える集会は全国で最大200万人以上(主催者発表)に膨れあがった。
市民を巻き込み韓国社会を揺るがしている疑惑は2017年、どういう結末を迎えるのか。最大の焦点は朴大統領の疑惑への関与の真相究明と、弾劾審判で朴大統領が罷免されるかどうかだ。
■特別検察官の捜査
まず、真相究明に向けては、特別検察官が年末から本格的な捜査に入り、崔被告ら多くの関係者の取り調べや関係箇所の家宅捜索を行っている。特別検察官は政府から独立して設置される捜査機関で、検察の捜査が政権の影響を受けやすいという懸念を受けて、1999年に導入された制度だ。
その捜査は、日本では見られない進められ方となっている。まず、特別検察官の発足とともに、それまでに行われていた検察の捜査は終了し、調書や証拠などの捜査資料は特別検察官に引き継がれた。
特別検察官の捜査陣容は100人以上で、野党が推薦した検察出身の弁護士が指揮を執っている。ソウル市内のビルに事務所を置き、事務所では毎日、記者会見が行われている。特別検察官は国民の知る権利に応えるために、容疑内容以外の捜査の過程について、報道機関に説明することも義務づけられているためだ。
捜査対象となる項目は多岐にわたるが、ポイントは、多くの財閥企業が崔被告側に拠出した巨額の金が、見返りを伴う賄賂だったと立証されるかどうかだ。
立件に向けて、今、照準を合わせているのはサムスングループの疑惑だ。サムスンは財閥の中で最大の204億ウォン(約20億円)を崔被告が設立した財団に拠出しているほか、崔被告の娘で馬術の選手のチョン・ユラ容疑者の馬の購入費や、ドイツでの練習費用として280万ユーロ(約3億4000万円)を提供したとされている。この金は朴大統領がサムスングループの企業合併を手助けするため政府系の企業に働きかけた見返り、つまりサムスンからの賄賂にあたるのではないかと指摘されている。
捜査の結果、こうした財閥からの金が賄賂と認定されれば、朴大統領が自らの職務に関連して崔被告に賄賂を渡すよう仕向けた第三者供賄の罪が適用されることになる。
そうした中で今後注目されるのは朴大統領本人に対する捜査だ。特別検察官は朴大統領本人からの事情聴取の準備を進めていることを明らかにしていて、大統領府への家宅捜索も辞さない構えだ。検察からの聴取の要請は拒否し続けた朴大統領だが、特別検察官の聴取は実現するのか。その際には自らの口で何を語るのか。捜査の最大のヤマ場になる。
一方で、特別検察官の捜査には期限が設けられている。与えられた期間は2017年2月末まで。それまでに終了しない場合、許可が出ればさらに30日延長することが可能だが、いずれにせよ時間との戦いになる。
■弾劾審判の行方
特別検察官の捜査結果は、朴大統領を罷免するかどうか判断する憲法裁判所の弾劾審判の行方にも影響を与えると考えられる。国会が可決した弾劾訴追案は、検察のこれまでの起訴内容、疑惑に関するメディアの報道などをまとめ、それぞれの事実について朴大統領の行為が憲法違反や法律違反にあたると指摘したものだ。
弾劾審判では、この弾劾訴追案の妥当性をめぐり、攻防が繰り広げられる。国会側は迅速な罷免の決定を求めているが、朴大統領の弁護士は、弾劾訴追案の内容について「すべて事実ではなく客観的な証拠もない」と反論し、棄却を求めている。
渦中の朴大統領は今、どういう状況にあるのだろうか。その動静はほとんど伝わってこないが、弁護士は、弾劾審判の初公判の後、大統領と直接会って相談すると述べた。朴大統領は今も大統領府にいる模様で、弁護士らと今後の法廷戦術を検討するとみられる。
弾劾審判の審理にも期限が設定されている。期間は最長で2017年の6月まで。憲法裁判所は「国政に空白が生じている」として早期に判断を下す姿勢を示しているが、国会側と朴大統領側の全面対決が予想される中、審判が長期化する可能性があり、実際に判断が出る時期は不透明だ。
果たして憲法裁判所は朴大統領を罷免する判断を下すのだろうか。憲法裁判所はこれまで、世論を反映した判断を下してきた。これまでの世論調査では弾劾を求める声が圧倒的多数であることを考えると、罷免の判断が出る可能性が高い。そうなれば、朴大統領は韓国の歴史で初めて弾劾によって辞めさせられた大統領となり、60日後には大統領選挙が実施されることになる。
特別検察官の捜査結果は、朴大統領を罷免するかどうか判断する憲法裁判所の弾劾審判の行方にも影響を与えると考えられる。国会が可決した弾劾訴追案は、検察のこれまでの起訴内容、疑惑に関するメディアの報道などをまとめ、それぞれの事実について朴大統領の行為が憲法違反や法律違反にあたると指摘したものだ。
弾劾審判では、この弾劾訴追案の妥当性をめぐり、攻防が繰り広げられる。国会側は迅速な罷免の決定を求めているが、朴大統領の弁護士は、弾劾訴追案の内容について「すべて事実ではなく客観的な証拠もない」と反論し、棄却を求めている。
渦中の朴大統領は今、どういう状況にあるのだろうか。その動静はほとんど伝わってこないが、弁護士は、弾劾審判の初公判の後、大統領と直接会って相談すると述べた。朴大統領は今も大統領府にいる模様で、弁護士らと今後の法廷戦術を検討するとみられる。
弾劾審判の審理にも期限が設定されている。期間は最長で2017年の6月まで。憲法裁判所は「国政に空白が生じている」として早期に判断を下す姿勢を示しているが、国会側と朴大統領側の全面対決が予想される中、審判が長期化する可能性があり、実際に判断が出る時期は不透明だ。
果たして憲法裁判所は朴大統領を罷免する判断を下すのだろうか。憲法裁判所はこれまで、世論を反映した判断を下してきた。これまでの世論調査では弾劾を求める声が圧倒的多数であることを考えると、罷免の判断が出る可能性が高い。そうなれば、朴大統領は韓国の歴史で初めて弾劾によって辞めさせられた大統領となり、60日後には大統領選挙が実施されることになる。
■次期大統領選
次期大統領選をめぐっては、すでに活発な動きが見られる。有力候補の1人目は、年末で国連事務総長の任期を終える潘基文氏だ。先日、韓国メディアに「国連事務総長の経験が韓国の発展に役に立つならば、身を燃やしても努力する用意がある」と述べ、聯合ニュースは事実上の出馬宣言と報じた。12月22日に発表された調査会社「リアルメーター」の世論調査では、潘氏は、立候補が有力視される人物の中で支持率23.1%で1位だ。
次期大統領選をめぐっては、すでに活発な動きが見られる。有力候補の1人目は、年末で国連事務総長の任期を終える潘基文氏だ。先日、韓国メディアに「国連事務総長の経験が韓国の発展に役に立つならば、身を燃やしても努力する用意がある」と述べ、聯合ニュースは事実上の出馬宣言と報じた。12月22日に発表された調査会社「リアルメーター」の世論調査では、潘氏は、立候補が有力視される人物の中で支持率23.1%で1位だ。
22.2%で僅差の2位につけているのは、最大野党「共に民主党」の前代表・文在寅氏。弾劾訴追案を可決した野党の勢いに乗り、前週の調査では支持率は1位だった。文氏は日韓の慰安婦合意について「正当性を認めることは難しい」とした上で、「日本は法的責任を認め、公式に謝罪するべき」と述べている。
他の有力候補としては、過激な発言で注目されているソウル郊外の城南市長・李在明氏、野党「国民の党」の前代表・安哲秀氏らが続く。
捜査、弾劾審判、政局…と国民的な重大関心事が現在進行中の韓国。例年の年末年始のような落ち着いた雰囲気は今は全く見られない。日テレニュースより
他の有力候補としては、過激な発言で注目されているソウル郊外の城南市長・李在明氏、野党「国民の党」の前代表・安哲秀氏らが続く。
捜査、弾劾審判、政局…と国民的な重大関心事が現在進行中の韓国。例年の年末年始のような落ち着いた雰囲気は今は全く見られない。日テレニュースより
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