「浙江省だけでこの1年半に合計1500本以上の十字架が中国政府当局により破壊され、撤去された。習近平政権の異常なキリスト教弾圧の一環なのだ」
中国のキリスト教徒擁護の国際人権団体「中国援助協会」のボブ・フー(中国名・傅希秋)会長が熱をこめて証言した。米国の「中国に関する議会・政府委員会」が7月下旬に開いた公聴会だった。立法府と行政府が合同で中国の人権や社会の状況を調べ、米側の対中政策の指針とすることを目的とした委員会である。この公聴会は「習近平の中国での弾圧と支配」と題され、中国政府の宗教や信仰の弾圧を報告していた。
米国の国政の場では習政権の人権弾圧への非難がいま一段と高まってきた。同委員会の共同議長のマルコ・ルビオ上院議員も公聴会の冒頭で「習近平政権は文化大革命以来の最も過酷な弾圧をいま実行している」と強調した。同議員は上院外交委員会の有力メンバーで来年の大統領選に向け共和党で立候補した注目度の高い政治家である。
同公聴会ではキリスト教のほかチベットやウイグルでの弾圧、気功集団への徹底取り締まりが議題とされ、それぞれの被害者側の代表が証人として報告した。なかでも日本ではあまり報じられないのはキリスト教への弾圧である。
「中国当局はキリスト教の家庭教会と呼ばれる非公認教会を邪教と断じ、信者の多い浙江省内だけでもここ1年半に50の教会を破壊し、信者1300人を逮捕した。当局はとくに信仰のシンボルとなる十字架の破壊を頻繁に続けている」
フー会長の証言によると、中国政府は習政権の下で共産党の無神論に基づく宗教弾圧だけでなく、キリスト教の外国との絆を敵視しての抑圧を強化し始めた。
中国では当局支配下のキリスト教組織として「三自愛国教会」や「天主教愛国会」があり、その信徒が2千万人強とされる。それ以外に1億人ほどが当局の禁じる地下教会で信仰を持つとみられる。沿岸部で欧米との絆の強い浙江省にとくに信者が多い。
最近の十字架破壊は当局支配下の教会にもおよび、十字架は教会の尖塔(せんとう)の上は禁止、建物の前面の最上部ではない壁に埋め込むことを命じられるようになった。それに反対する牧師や信徒はすぐ拘束されるという。なにやらローマ帝国の暴君ネロのキリスト教迫害を思わせるような弾圧なのだ。
こんな現状を証言するフー氏は中国の山東省生まれで、大学生時代の1980年代にキリスト教に入信した。民主化運動にもかかわり、天安門事件にも参加した。90年代は中国国内でキリスト教の布教に従事して弾圧され、亡命の形で米国に渡る。2002年には「中国支援協会」というキリスト教組織を創設して中国内部の信者たちと密接に連携しながら活動してきた。
フー氏は公聴会に並んだ上下両院議員や政府代表に対し中国政府の人権弾圧への反対を対中政策の中心におくことを迫り、9月に予定される習主席の米国公式訪問も中国の人権政策の修正を前提条件につけることを求めるのだった。
女性の人権を旗印に過去の慰安婦問題で日本を糾弾する中国政府がいま現在、自国内でこんな人権弾圧を続けている事実こそ日本側でもぜひ提起すべきだろう。夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年8月30日日曜日
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