中国共産党を率いる習近平指導部に重大懸念が浮上している。失脚した令計画・人民政治協商会議副主席の実弟が党指導部に関する機密資料とともに米国に亡命。2700点に及ぶ資料には複数の党幹部の不正蓄財や情事に関する情報が含まれるともいわれ、注目を集めている。亡命劇の背後には、「中国共産主義青年団(共青団)派」トップの胡錦濤・前国家主席の影もちらついているという。習氏がおびえる“機密爆弾”の中身は。
米紙ニューヨーク・タイムズなどが報じた習政権の新たな火種。その渦中にいるのは、胡錦濤・前国家主席の最側近として知られ、日本の官房長官に当たる政権の大番頭役、党中央弁公庁主任を長年務めた令計画氏の弟、完成氏だ。
同紙などによれば、亡命した完成氏は、カリフォルニア州に豪邸を構え、妻とともに「ジェイソン・ワン」などの偽名を使って暮らしていたという。
兄の計画氏は、習政権が主導する「反腐敗運動」のターゲットとされた末に当局に拘束され、先月、党籍剥奪の処分を受けた。しかし、立場上、党の機密情報に触れることができた計画氏は、「もしもの事態」に備えて集めた情報を弟に託したのだという。
その舞台裏を『月刊中国』発行人の鳴霞(めいか)氏は、「計画氏が在職中に仕入れた機密情報は計2700点に及ぶといわれている。弟の完成氏はその資料を携えて、おいとともに中国を出国し、シンガポール経由で米国に渡ったといわれている」と明かす。
持ち出された資料の大部分は党幹部の海外での不正蓄財に関する情報だったが、「なかには幹部の情事の一部始終を隠し撮りしたビデオも含まれるといわれており、その範囲は、習政権のみならず、旧政権時代にまで及ぶ」
明るみに出れば、現政権の権威失墜は避けられない。
習政権は、そんな爆弾情報を握る完成氏の身柄引き渡しを米国に繰り返し求めてきた。今春に予定されていた、反腐敗運動を取り仕切る王岐山・党中央規律検査委員会書記の訪米も、主な目的は完成氏の引き渡し要求だったともいわれている。
その完成氏は、反腐敗運動でとらわれの身となった一族への便宜を図るよう習政権に揺さぶりをかけているとされる。
しかし、その背後にはより大きな黒幕の存在も見え隠れする。
中国事情に詳しい評論家の石平氏は「完成氏の背後には、兄の計画氏がかつて仕えた胡錦濤氏がついている可能性がある。胡氏は、完成氏が握る機密情報を権力闘争を勝ち抜くための“最後のカード”として利用する腹づもりなのだろう」と指摘する。
習政権は、腐敗官僚の撲滅をうたってスタートさせた反腐敗運動を使って敵対勢力の追い落としを図ってきた。
そのメーンターゲットとなってきたのが江沢民・元国家主席率いる「上海閥」だった。周永康・前党政治局常務委員ら派閥に属する複数の幹部を次々と粛清してきた一方、胡氏を後ろ盾とする「共青団派」とは微妙な距離を保ってきた。しかし、習政権が胡氏の右腕的存在だった計画氏を失脚させたことで、関係は一気に緊迫化した格好だ。
「胡錦濤氏は、2017年の党大会をにらんでいる。ここで江沢民氏の影響下にある幹部が軒並み定年を迎え、『上海閥』は一掃される。その機会に配下の『共青団派』の幹部を政権中枢に送り込んでイニシアチブを握り、習政権から実権を奪うつもりだろう。完成氏が持つ機密情報をそのための切り札に使い、習政権から大幅な譲歩を引き出そうとしている可能性がある」(石平氏)
習政権をめぐる権力闘争は抜き差しならない状況になってきた。夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年8月12日水曜日
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