F3の総事業費は約4兆円
防衛装備庁は今夏、F3開発を検討するに当たって、技術供与などの情報を提供する企業の募集を行った。英国の軍事情報誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー」などによると、ボーイングとロッキード・マーチンが名乗りを上げた。
この米2社に加えて、英国やドイツなど欧州4カ国が共同で開発したユーロファイタータイフーンを製造する英BAEシステムズ、最新の多目的戦闘機グリペンを公開したスウェーデンのサーブの名前も取り沙汰されている。
総事業費が最大で400億ドル(約4兆円)ともいわれるF3は、2030年ごろから退役が始まるF2の後継機として30年近くは活躍することが期待されている。
米国のF22とF35、ロシアのТ-50(PAK FA)、中国の「殲-20」と「殲-31」など世界各国の空軍はすでに最新鋭のステルス性能を持つ第5世代の戦闘機の運用や開発を進めている。
防衛省は平成22年8月にまとめた「将来戦闘機の開発ビジョン」の中で、F3の開発費を5000~8000億円と見積もっている。しかし、F2の開発費は当初見積もりの1650億円から3270億円へと約2倍に跳ね上がった。こうしたことを踏まえると、F3のそれは1兆円を超える可能性がある。
米国との共同開発となったF2には、日本側に苦い経験がある。国産のF1支援戦闘機の老朽化に伴い、1980年代にスタートしたF2の開発構想は当初、日本側が国内開発を前提に計画を進めようとしたのに対し、米国は技術的に優位にあった戦闘機用の大出力エンジンの供与を拒否。日米貿易摩擦などを背景に結局、F2は米国のF16戦闘機をベースとした日米共同開発となった。
F2の開発にあたって、米国は大出力エンジンだけでなく機体制御を行うためのソースコードなどの提供も拒否。日本側は米国側に技術を事実上、無償で開示しなければならなくなったのに対し、米国側は技術情報の開示を拒むことができた。また、日本側はF2を1機製造するごとに多額のライセンス料を米国側に支払わなければならなくなった。
F3開発に米国が横やりを入れてきた?
心神の開発・製造に当たっても日本側がステルス性能をチェックする実物大の模型試験を米国内で実施しようと要請したのに対し、米国側は試験施設利用を拒否。このため、試験はフランスの施設を借りて行った。
F2の国内開発のネックとなったエンジン開発だが、心神はIHIが製造した推力5トンのXF5-1エンジン2基を搭載している。米国が誇る最新鋭のステルス戦闘機F22は推力15トンのF119エンジン2基を搭載している。航空自衛隊が保有し、今も第一線で運用されている第4世代のF15は推力8・6トンのF100エンジンを搭載している。
心神は基本的な飛行特性、ステルス性、高い重力加速度をかけた場合の機体性能などを試験することになっているが、F3の国内開発を選択する場合、やはりエンジン開発がネックとなりそうだ。
F3は2018年夏ごろまでに開発に踏み切るかどうかの方針が決まり、開発することが正式に決まれば約100機が調達されるとみられている。米国ではF22やF35以後の次世代戦闘機開発に関してはほとんど白紙の状態であり、欧州でも本格的な議論は進んでいない。F3を開発することが決まれば、第6世代以降の戦闘機のあり方を占うものになる。(9月23日掲載) 産経WESTより
防衛装備庁は今夏、F3開発を検討するに当たって、技術供与などの情報を提供する企業の募集を行った。英国の軍事情報誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー」などによると、ボーイングとロッキード・マーチンが名乗りを上げた。
この米2社に加えて、英国やドイツなど欧州4カ国が共同で開発したユーロファイタータイフーンを製造する英BAEシステムズ、最新の多目的戦闘機グリペンを公開したスウェーデンのサーブの名前も取り沙汰されている。
総事業費が最大で400億ドル(約4兆円)ともいわれるF3は、2030年ごろから退役が始まるF2の後継機として30年近くは活躍することが期待されている。
米国のF22とF35、ロシアのТ-50(PAK FA)、中国の「殲-20」と「殲-31」など世界各国の空軍はすでに最新鋭のステルス性能を持つ第5世代の戦闘機の運用や開発を進めている。
こうした中、日本では今年4月に「先進技術実証機」(通称・心神)の初飛行が実施されるなどステルス戦闘機開発に向けたテストが行われている。米露中など世界各国の空軍の趨勢を考慮すると、F3は第5世代の戦闘機と同等かそれを上回る性能が求められることになる。
日本を覆うF2開発の苦い経験防衛省は平成22年8月にまとめた「将来戦闘機の開発ビジョン」の中で、F3の開発費を5000~8000億円と見積もっている。しかし、F2の開発費は当初見積もりの1650億円から3270億円へと約2倍に跳ね上がった。こうしたことを踏まえると、F3のそれは1兆円を超える可能性がある。
米国との共同開発となったF2には、日本側に苦い経験がある。国産のF1支援戦闘機の老朽化に伴い、1980年代にスタートしたF2の開発構想は当初、日本側が国内開発を前提に計画を進めようとしたのに対し、米国は技術的に優位にあった戦闘機用の大出力エンジンの供与を拒否。日米貿易摩擦などを背景に結局、F2は米国のF16戦闘機をベースとした日米共同開発となった。
F2の開発にあたって、米国は大出力エンジンだけでなく機体制御を行うためのソースコードなどの提供も拒否。日本側は米国側に技術を事実上、無償で開示しなければならなくなったのに対し、米国側は技術情報の開示を拒むことができた。また、日本側はF2を1機製造するごとに多額のライセンス料を米国側に支払わなければならなくなった。
F3開発に米国が横やりを入れてきた?
心神の開発・製造に当たっても日本側がステルス性能をチェックする実物大の模型試験を米国内で実施しようと要請したのに対し、米国側は試験施設利用を拒否。このため、試験はフランスの施設を借りて行った。
F2の国内開発のネックとなったエンジン開発だが、心神はIHIが製造した推力5トンのXF5-1エンジン2基を搭載している。米国が誇る最新鋭のステルス戦闘機F22は推力15トンのF119エンジン2基を搭載している。航空自衛隊が保有し、今も第一線で運用されている第4世代のF15は推力8・6トンのF100エンジンを搭載している。
心神は基本的な飛行特性、ステルス性、高い重力加速度をかけた場合の機体性能などを試験することになっているが、F3の国内開発を選択する場合、やはりエンジン開発がネックとなりそうだ。
F3は2018年夏ごろまでに開発に踏み切るかどうかの方針が決まり、開発することが正式に決まれば約100機が調達されるとみられている。米国ではF22やF35以後の次世代戦闘機開発に関してはほとんど白紙の状態であり、欧州でも本格的な議論は進んでいない。F3を開発することが決まれば、第6世代以降の戦闘機のあり方を占うものになる。(9月23日掲載) 産経WESTより
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