2016年10月23日日曜日

【コラム】「韓国が崩壊する理由、中国に行けば分かる」

せっかく朴記者にお会いしたので、思っていることを全てぶちまけましょう。韓国経済は崩壊の道を歩んでいます。間もなく中国に完全にやられてしまうでしょう。希望はありません。

中小企業の商売人に何が分かるのかって? 私のように中国に頻繁に行ってビジネスをしている企業家は皆知っていますよ。なぜ韓国経済は崩壊の道を歩むほかないのか。

中国は今や巨大な起業国家になりました。米国シリコンバレーのモデルをそのまま移植し、自国のものにしたわけです。中国の名門大学の近くに行ってみてください。(起業を目指す若者たちが集まる)「創業カフェ」がずらりと並んでいるのです。それを見たら背中に冷たい汗が流れますよ。中国の賢い若者たちは皆、そこに集まっています。会社を立ち上げて金持ちになるという大きな夢を抱いているからです。

韓国の学生街はどうでしょう? 飲み屋と食堂以外に何かありますか。中国の若者たちは起業しようと必死なのに、韓国の優等生は公務員試験を受ける。これがまともな国でしょうか。若者が夢を失った国に未来があるのか、ということです。

韓国がこうなった原因は若者たちのせいではありません。中国は夢を与えるシステムをつくったのです。中国には自分の力で稼いだ富豪たちの成功神話があふれています。韓国の若者にはどんなロールモデル(手本)があるでしょうか。韓国の長者番付の上位100人のうち、自力で富を築いた人はいったい何人いるでしょう。ほとんどが財閥2世・3世、つまり世襲による富豪ではありませんか。このような世の中でどんな夢を抱けというのでしょう。

韓国で会社を設立し、成功することがどれだけ大変なことか分かりますか? 中小企業育成策が掲げられて30年が過ぎました。しかし状況は良くなるどころか、大企業との格差は天と地ほどに開いてしまいました。どうしてかって? 政府が見当違いな政策ばかり打ち出しているからです。本質は別のところにあるのに、突拍子もないことばかりしていた結果なのです。

韓国が今抱えている問題は何ですか。若者の失業、非正規職問題、社会の二極化、少子化、私教育(塾や家庭教師など)、といった問題ですよね。これらはそれぞれ、独立した別個の問題だと思いますか? 違います。根幹は一緒なのです。「成長のはしご」が崩れてしまったからなのです。自力で成功できるシステムが崩壊してしまったわけです。どの問題も、「成長のはしごの崩壊」から派生した副産物にすぎないのです。ですから、根幹部分、すなわち成長のはしごさえ復元すれば、全ての問題が一度に解決します。

考えてみてください。起業して富豪になれる「はしご」ができたら、どうなるでしょうか。まず若者の失業問題はなくなります。大企業に就職するために死にもの狂いで頑張る必要がなくなるのです。そうすれば私教育に高いお金を払う必要もなくなり、子どもを生むなと言っても自然に生むようになります。二極化は解消され、全ての問題が連鎖的に解決していきます。

現在の韓国政府の政策は、本質を見ることができていません。失業問題は雇用労働部(省に相当、以下同じ)、少子化問題は保健福祉部、私教育問題は教育部が管轄し、それぞれが独自に動いています。根幹には手を付けず、枝葉の部分ばかり熱心にいじっているわけです。それで何か解決するでしょうか。

「成長のはしご」の復元は口で言うほど簡単か、ということですが、発想を転換すればよいのです。投資の生態系を作ってやるのです。起業する際に最も困難なのは資金集めです。事業の初期には多方面でお金が掛かりますが、調達するところがありません。銀行は先に担保を要求し、それがなければ口もきいてもらえません。

シリコンバレーが成功した秘訣(ひけつ)は何だったでしょうか。アイデアさえ良ければ出資してくれる投資家がいるからです。韓国は投資の不毛地帯です。ほとんどのベンチャー企業が資金不足にあえぎ、事業を諦めてしまいます。出資さえしてもらえれば優秀なベンチャー企業はいくらでも生まれます。起業の活性化は結局、金融の問題なのです。

ところが悲しいことに、韓国の政策立案者たちは投資というものが何なのかを知りません。金融といえば、担保を確保して融資することしか頭に浮かばないのです。そのため、住宅担保融資が異常なほどに増え、不動産だけにカネが集中します。このカネがコスダック(韓国の新興株式市場)の資本市場に投じられるようにしなければならないのです。そうすればベンチャー投資も活性化し、起業も活性化します。創造経済だとか何とか言って複雑に考える必要などないのです。

政府にも腹が立ちますが、本当の逆賊は国民年金です。国民年金がベンチャーと中小企業の資金源を枯渇させているのです。コスダック市場で中小企業の株式を売りさばいているというわけです。国民年金は全国民が出し合ったお金です。そのお金で、中小企業に冷たい仕打ちをして大企業の株式を買う、そんなことが許されるのでしょうか。

国民年金が株を売れば、年金基金・ファンドもその動きに追随します。コスダックが低迷し、中型・小型株の元気がないのは全て国民年金が原因をつくっているのです。市場が低迷しているときに、誰がベンチャー企業に投資するでしょうか。政府は起業を活性化させると言っているのに、国民年金がそこに冷や水を浴びせているのです。国民年金がベンチャーの生態系をめちゃくちゃにしているわけです。

国民年金も収益率を考えなければならない? それは当然です。それでも、中小企業の元気がなくなれば、国民年金を納める労働者や働き口も減少します。中小企業を育成することが結局は国民年金の収益率を高めることにつながるのです。

国民年金550兆ウォン(約50兆円)のうち数兆円(数千億円)だけでもコンスタントに中小企業に投資してみたらいいでしょう。投資家たちが殺到し、ベンチャーの生態系がよみがえるはずです。創造経済とはすなわち起業の活性化のことだそうですね? だったらなぜ中型・小型株を売り続ける国民年金の運用本部長をそのままのさばらせておくのでしょう? 私の言っていることは何か間違っていますか? 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版より

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