ロンドン(CNN) 英国防省は22日までに、ロシアの空母「アドミラル・クズネツォフ」の機動部隊が北海を航行し、ドーバー海峡や英国海峡を抜けて地中海に向かう構えを見せていると報告した。最終的にはシリアのタルトゥスにある海軍基地を目指しているとみられる。
軍事情報会社IHSジェーンズ(IHS)の編集責任者はCNNの取材に、同空母戦闘群の英国海峡通過などの動きは軍事力の示威行為と明言。シリアで続ける空爆任務の観点から言えば、同国に地上配備している戦闘機で十分間に合うと指摘した。
英国防省によると、空母戦闘群は今月15日にロシアを出港し、アイスランドとノルウェーの間の海域を進み、北海に入った。英国海軍が駆逐艦など2隻を派遣し、動向を注視していると述べた。また、3隻目はポルトガルの方向から英国へ向かって北上しているロシアのコルベット艦2隻を追跡するため21日にポーツマス港を出る予定としている。
北海を航行している戦闘群はアドミラル・クズネツォフの他、原子力巡洋艦「ピョートル・ベリーキイ」、駆逐艦2隻などで構成。同空母に艦載可能な軍用機は50機となっている。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は20日、同空母戦闘群の今回の航路に絡み懸念を記者団に表明。ロシアには公海を使う権利は当然あるとしながらもこの時期に地中海に向かう意図をいぶかり、シリア北部で空爆にさらされ市民多数が閉じ込められているアレッポ市への攻撃強化に参加することへの懸念を示した。戦闘群が地中海に接近すればNATOの海軍戦力が監視する通常の措置を講じるとしている。
ロシア唯一の空母であるアドミラル・クズネツォフの機動部隊が地中海に展開するのは過去にもあった。ジェーンズの編集責任者は同空母の今回の出動について艦載機の円滑な発着などを試す機会と位置付けている可能性にも言及。アドミラル・クズネツォフのような設計の空母からの発艦などは難しく、それだけ十分な訓練が必要としている。「ヘビーメタルのロックに合わせて普通のバレエを踊るようなもの」とも形容した。
ロシア国防省は今月10日、シリア・タルトゥスにある海軍施設を改善し、恒久的な拠点にする計画を明らかにしていた。
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