2016年10月16日日曜日

ポルトガル、反緊縮予算案

ポルトガル政府は14日、所得税の引き下げや年金額の引き上げ、貧困層支援などを盛り込んだ2017年予算案を発表しました。極度の財政難が続く中、国民の購買力回復を軸に、前政権が課してきた緊縮政策の見直しを進めています。

同国では昨年末の総選挙で、緊縮派の社会民主党(保守党)が大きく後退。第2党の社会党が、反緊縮で一致するポルトガル共産党、左翼ブロック、緑の党の閣外協力を得て政権を樹立しました。

予算案は、緊縮下で導入された特別所得税(税率2.5~5%)の廃止を決定、年金額が月838ユーロ以下の受給者について、物価上昇率に応じた加算を決めました。

この他、第1から4学年(小学校1~4年に相当)の教科書無償化や、貧困家庭の水道料金の引き下げ導入。数年間にわたり凍結されていて公務員給与については、食事手当で実質的な増額を図りました。

一方、こうした措置の財政確保のため、酒税、煙草税、自動車取得税などの間接税引き上げを決定。富裕層課税の強化策として60万ユーロ(約6860万円)を超える不動産に一律0.3%を課税する新税を導入しました。

予算案の承認には閣外協力する3党の賛成が必要ですが、ポルトガル共産党のソーザ書記長は14日の議会討論で予算案の無条件の賛成はしないと強調。人生を通じて働いてきた人々には年金増額の権利がある、より多くの対策が必要だと述べ、国民向け施策の更なる拡充を求めました。

ただ、欧州連合(EU)の欧州委員会はポルトガルに対し、早期の財政赤字是正を勧告しており、場合によっては、制裁措置としてEU基金の利用を一部を停止する可能性も示しています。欧州委は今年7月、ポルトガルへの制裁見送りを決めましたが、同国政府には今後も厳しい財政運営が迫られそうです。

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