2016年10月21日金曜日

【最新国防ファイル】「むらさめ型」護衛艦 対空・対艦・対潜あらゆる海戦に対応

アフリカ東海岸に面するジブチ共和国。日本を遠く離れたこの地には、自衛隊唯一の海外拠点がある。ソマリア沖の通称「アフリカの角」と呼ばれるエリアで多発する海賊事案に対処するため、防衛省は海上、陸上自衛隊を派遣している。

ここを通るタンカーなどの民間船舶は、数隻で連なってIRTC(海の上の安全回廊)を通過することになっている。各国から派遣されてきた海賊対処部隊が、その船団の周囲を警戒する。

海自については、船団の前後を護衛艦で挟み、上空から哨戒機が警戒飛行を実施し、護衛に当たっている。陸自については、活動拠点の警備を担当している。

船団護衛に主として当たっているのが汎用(はんよう)型護衛艦である。世界的に見ると駆逐艦に相当するため、艦種記号はDestroyerを略したDDと記す。

DDの中でも中核となっているのが、「むらさめ」型だ。

1996年3月に「むらさめ」が就役して以降、2002年までにトータル9隻も大量生産された。すべて「雨」の名前が付けられている。

汎用型護衛艦とは、対空・対艦・対潜とあらゆる海戦に対応でき、ヘリ運用能力を持つマルチプレーヤーである。「むらさめ」型からステルス性能も向上させた。

基準排水量4550トンと余裕のある船体を持ちながら、オート化が図られ、乗員数が少なく抑えられているのも特徴だ。これまでのDDの居住区画は3段ベッドだったが、「むらさめ」型から2段ベッドとなり居住性も向上した。

武器システムも一新した。DDとして初めてVLS(垂直発射システム)を採用した。これまでは箱型ランチャーを採用していたため、発射する際、敵艦に船体の側面を向け、発射口側を目標に向ける必要があった。場合によって、船の向きを大きく動かす必要があり、すぐに射撃できないのは弱点とも言えた。

「むらさめ」型は、真上に発射することで、ミサイル自身が敵に向けて針路を変え飛んでいくため、船体の向きを考えなくてよくなった。

マルチプレーヤーを求めているのは、ジブチだけではない。

日本の南西諸島部における中国艦の警戒にも適している。領海警備用としても是が非でも配置しておきたい。海外での訓練にも引っ張りだこだ。使い勝手がいいため、「むらさめ」型は、ヘビーローテーション状態となっている。

現在「むらさめ」型を拡大改良した、「たかなみ」型も5隻建造され、任務を補完し合っているが、まだ足りない。

2018年度をめどに、新しい多機能護衛艦の建造計画がある。ただ、国際情勢は一歩たりとも待ってはくれない。 夕刊フジより

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