2018年5月3日木曜日

日本土産に漢字+アルファベットのはんこ人気です 

訪日観光の記念に印章を作る外国人客が増えている。「自分の名前が入った土産は珍しい」からだという。2020年東京五輪・パラリンピック開催で訪日客がますます増えると見込む都内の店主らは、接客に焦点を絞った英会話の勉強も始める。
                   
英会話講座で勉強

英会話講座を開くのは、東京都内の138人の印章店関係者らが加盟する東京印章協同組合。常務理事の山口学さん(50)によると、同組合は平成25年に五輪・パラリンピックの東京開催が決まるや、加盟店のウェブサイトの英語版作成など、訪日客呼び込み策に着手した。

一読してはんこの注文ができるよう一問一答を載せた英文パンフレットも作成したが、このやりとりを店頭で実際に会話するのが講座の狙い。店主ら40人が受講予定だ。

「名前の入った土産は他にない」

印章を購入する訪日客は「増えています」と話すのは、文福堂印房代表取締役の松崎文一(ふみかず)さん(58)。同店はJR大井町駅東口から徒歩3分ほどの商店街にあるが、「週1、2組は来店します」。松崎さんが28年秋に考案した独自の「デュアル・ハンコ」が目当てだ。

訪日客はファーストネームの「音」を当てた漢字やかなで印章を作るが、松崎さんは「それでは帰国してから他の人が読めず、はんことしての魅力が半減」と考え、漢字の下にアルファベット表記を組み合わせ、これをデュアル・ハンコと名付けて意匠・商標登録した。このひと工夫が好評で、同店の英文サイトを見て1本3千円のはんこを求めて訪日客が足を運ぶ。

「名前が入った土産なんて他にないのが魅力だそうです」。松崎さんは、今後、あらゆる印章店にチャンスがめぐってくると考えている。「思いもつかなかった場所にホテルが建設されています。ある日突然、店の前を訪日客が行き交うようなことが起きるはず」

「最近は本当に訪日客が増えました」

昭和7年創業の佐野印房3代目店主で代表取締役の牧野敬宏(たかひろ)さん(42)。人気観光スポットの上野と浅草のほぼ中間地点にあり、店から約200メートルのホテルは訪日客で大盛況。周辺では、さらにホテルやゲストハウスが建設中だ。

店ではもっぱら母の恵子さん(67)と妻の友紀子さん(42)が対応している。友紀子さんは、日本語だけで訪日客の注文をとってしまう度胸と愛嬌(あいきょう)の持ち主だが、「もっと、ちゃんと話したい」。恵子さんも牧野さんも同様だ。

「店に入るには相当な勇気がいるはず。店頭で、こちらから呼びかけたい」と牧野さん。組合の英会話講座に参加する予定だ。

チャンスあり

組合は3月、組合員に訪日客に関するアンケートを行った。上野、浅草を擁する台東区にある店舗は「とても増えた」(50%)、「やや増えた」(50%)で「増えた」が100%。しかし、文京区などは「来店は全くない」(75%)と場所で明暗を分けている。

ただ、山口さんは訪日客への取り込みはどの店にとっても重要課題と考えている。

印章販売はここ15年ほど、インターネット通販に押されているという。だが、訪日客向け販売は、名前の音に対応した漢字を店主が提案し、意味を説明して彫るもの。応接が必要だから、実店舗であることが強みになる。英会話講座でそのやりとりをもっとスムーズにし、店舗の活気につなげたい考えだ。産経ニュース

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