2018年5月25日金曜日

韓国、「仲介役」の面目失う

米朝首脳会談の中止に、米朝間の「仲介役」を自任していた韓国の文在寅大統領は、面目が完全に潰れてしまった。
 
韓国政府は24日、北朝鮮での核実験場爆破を前に「今回の措置が後の非核化の、完全な非核化のための契機となるよう期待している」(韓国外務省報道官)と北朝鮮の予定通りの行動を見守り、爆破後には歓迎を表明した。ところが一瞬で喜びは落胆に変わった。

文氏は金正恩朝鮮労働党委員長が1月の「新年の辞」で南北関係改善に意欲を示して以来、平昌五輪への北朝鮮の参加や芸術団の派遣など、北朝鮮の要求を全面的に受け入れ対話に応じてきた。

平昌五輪の開幕式ではペンス米副大統領に金正恩氏の妹、金与正(ヨジョン)氏ら北朝鮮代表団を引き合わせようともした文氏。南北和解の好機を信じ、金正恩氏との南北首脳会談を実現させ、板門店宣言も発表した。

韓国では文氏に対し「世界が注目するわが国の大統領」との評価も出ていた。22日には訪米し、米朝首脳会談の成功に向けてトランプ米大統領と会談したばかりだった。

南北首脳会談を米朝首脳会談につなげるものと位置付け、ひたすら米朝の仲介者に徹した文氏が、窮地に追い込まれた金正恩氏同様、大きな衝撃を受けたことは必至だ。

これまでの苦労が水の泡となった文氏としては、北朝鮮の反応を見極めた上で、念願の米朝首脳会談の実現に向けて一からやり直すしかない。韓国社会では文氏の対北融和姿勢に保守派は当初から冷ややかだったが、文氏の支持率は今月、80%を超えた。文氏の支持層である左派系はもちろん、一般国民の間でも、米朝首脳会談中止に対する落胆ムードは広がるとみられる。

今年、北朝鮮問題に多くの力を割いてきた文在寅政権ではあるが、国内経済などそれ以外の現実的な課題はほとんど改善されていない。米朝首脳会談の中止と、今後予想される朝鮮半島情勢の緊迫化。夢を砕かれた文氏は新たな難題に直面している。産経ニュースより

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