1カ月を切ったドナルド・トランプ米大統領と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の米朝首脳会談(6月12日)に向け、両国間で熾烈(しれつ)な駆け引きが行われている。
北朝鮮は先週、ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が提唱する大量破壊兵器廃棄の「リビア方式」(=短期間で大量破壊兵器を国外搬出し、完全廃棄後に経済制裁を緩和する)に猛反発し、会談破棄かと思われた。
ところが、トランプ氏は17日(米国時間)、「われわれが北朝鮮について考えるとき『リビア方式』はモデルとはしない」と語った。米朝の心理戦、裏交渉のジェットコースター状況が続く。
米国は、北朝鮮に対し「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)をギリギリまで降ろさないだろう。最後は、次の5つの方法のいずれかが「落とし所」となるのではないか。
第1は、段階的な核開発能力の削減と、経済制裁の緩和をバーターで進める「イラン方式」だ。
第2は、経済制裁の強化と国際社会からの孤立を進め、自発的に完全廃棄させる「南アフリカ方式」。
第3は、関係国からの体制保証を取り付け、バーターで核兵器を撤去する「ウクライナ方式」。
第4は、軍事攻撃により核兵器を除去する「イラク方式」。
第5が、ボルトン氏が言及した「リビア方式」である。
リビアの独裁者、カダフィ大佐は後に反体制派に殺害されている。北朝鮮が体制保証のカギである「核兵器」を、やすやすと手放すとは思えない。そこで、北朝鮮は「イラン方式」を主張する。すなわち段階的に核を手放すが、その都度、経済的見返りを求めるやり方である。
だが、トランプ政権は9日、イランと米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国の間で合意した2015年の「イラン核合意」(=包括的共同行動計画)からの離脱を表明した。そして、イランの弾道ミサイル開発規制の追加と、核開発制限の期限の撤廃などの「修正」を迫っている。
とするならば、米朝首脳会談までに「落とし所」は見つかるのか。それが最大の焦点となる。
しかし、決めるのはトランプ氏である。正恩氏と会談して「合意・和解」すれば、朝鮮半島で大変動が起きる。それは休戦状態の朝鮮戦争が事実上終焉し、「在韓米軍の撤収」にまでつながる可能性もある。日本にとっても、戦後最大の出来事となるだろう。
逆に「決裂」であれば、それはそのまま米国の「最後通告」となり、北朝鮮への軍事攻撃へとなりかねない。その場合、日本も北朝鮮からの核ミサイルの攻撃にさらされる危険がある。
両者いずれの場合でも、日本に対する影響は計り知れない。日本は米国にCVIDを託すしかなく、事態の推移を見守るしかない。来たるべき事態に対する「覚悟」が必要となる。夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年5月22日火曜日
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