2017年10月28日、国際社会の非難をよそに核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮。北朝鮮が核・ミサイルを絶対に手放さないのには理由がある。最終目標を強大な力を背景にした北主導の朝鮮半島統一に置いているからだ。朝鮮労働党3代目の金正恩党委員長にとって統一は、祖父や父がかなえられなかった夢の実現でもある。
金委員長の祖父の金日成主席は1950年6月25日、南北武力統一を目指し38度線を越えて韓国に侵攻した。朝鮮戦争の始まりだ。奇襲攻撃に韓国軍は敗走を重ねてソウルを失い、朝鮮半島南端の釜山周辺まで追い詰められたが、米国を中心とする国連軍は同年9月15日、ソウル近郊の仁川に上陸作戦を決行。補給線が延びきっていた北朝鮮軍が今度は敗走した。
国連軍はソウルを奪い返して北進し平壌も占領。さらに中朝国境近くまで迫り、「朝鮮民主主義人民共和国」は存亡の危機に立たされたが、中国の人民志願軍が参戦して国連軍を押し戻し、戦況は38度線を挟んで一進一退となり、53年7月27日、板門店で休戦協定が締結され、現在に至っている。
父親の金正日総書記の時代は北朝鮮の「失われた20年」。韓国のめざましい発展とは対照的に北朝鮮は経済的に低迷して国民生活が困窮し、多くの餓死者まで出たとされる。しかし、祖父の代に着手した核・ミサイル開発が次第に形になり、金委員長は大きな勝負に打って出た。
北朝鮮が自ら主導して南北統一を目指す上で最大の障害となるのは米国の存在。朝鮮戦争では米国の介入で戦況が一挙に逆転した。在韓米軍が引き続き駐留しているほか、1976年以降は毎年、韓国と大規模な合同軍事演習を繰り返し、空母機動部隊が朝鮮半島周辺に展開したり、B1爆撃機が飛来したりする。
核を搭載して米本土まで届く大陸間弾道弾(ICBM)の開発を北朝鮮が急ぐのは、米国に朝鮮半島問題に一切、手を出させないためだ。これは金委員長が祖父から学んだ教訓でもある。米国と本格的に事を構えることは選択肢にないはずだが、半島有事の際に出撃拠点となる在日米軍基地やグアム島は中距離弾道ミサイルの射程に収めている。けん制するには十分だ。
そして核を含む武力で威嚇しながら、機会をとらえて韓国との統一交渉に臨む。南北の国力の格差を補うのは核とミサイルだ。軍事的手段を伴ったとしても、米国は自国が核戦争に巻き込まれるリスクを冒してまで韓国を守らないだろう。北朝鮮がこんな戦略を描いているとすれば、米国が核・ミサイルの放棄と引き換えに金正恩政権の存続を保証しても歯牙にもかけず、中国が朝鮮半島の非核化を提唱しても耳を貸さないのもうなずける。 レコードチャイナより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年10月30日月曜日
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