2017年10月30日月曜日

重力波観測 「かぐら」の活躍を早く見たい

世界各地の天文台が参加する国際観測網がもたらした発見だ。日本の科学技術力を高め、さらなる貢献を果たしたい。
 
米国を中心とする国際研究チームが、二つの中性子星が合体して放出された重力波を今年8月に捉えたと発表した。重力波は、重い天体が高速で動く時に、宇宙をさざなみのように伝わる空間のゆがみだ。

重力波の観測は5回目だが、過去4回はいずれもブラックホールの合体だった。中性子星の合体の観測は、初めてだ。互いの重力で引き合った結果、地球から1億3000万光年離れた宇宙で合体が起きたという。

中性子星は極めて小さく重い。半径10キロでも太陽1、2個分の質量を持つ。合体時に中性子が鉄などの原子核に吸収され、金やプラチナなど、鉄より重い元素が作られたことが確認された。

宇宙の成り立ちの根源に迫る仮説の実証である。天文ファンならずとも胸が躍るだろう。

今回の重力波の観測には、米国の2台の装置に加え、欧州の1台が加わった。重力波が来る方角を絞り込むことが可能になり、研究チームは世界中の天文台に追跡観測を呼びかけた。

ブラックホールは光が出て来ないので観測は困難だが、中性子星の合体では、電波や赤外線、可視光、ガンマ線など様々な電磁波が宇宙に飛び出す。

日本からは、国立天文台や東京大、名古屋大などが参加した。米ハワイ州にあるすばる望遠鏡は、赤外線の分析にあたった。存在感を示せたと言えよう。

岐阜県飛騨市では、地下深くで東大などの重力波観測施設「かぐら」の建設が進む。長さ3キロのトンネル2本がL字形に交わる構造だ。レーザー光線が鏡に反射して往復する時間の、重力波によるわずかなずれを検出する。

性能は、欧米の施設に引けを取らない。2019年にも本格観測を開始し、国際観測網に加わる予定だ。重力波源の絞り込みに寄与するのは間違いない。一日も早く稼働させてもらいたい。

先端の天文観測装置は精密技術の粋であり、国の科学技術水準の高さを表す。重力波の観測計画は、中国やインドでも進む。国際協力と同時に、激しい競争にも対応していく必要がある。

日本の宇宙物理研究は世界のトップレベルで、ニュートリノやX線の観測など、優れた成果が多い。政府には、こうした基盤を維持する取り組みが求められる。  
infoseek newsより

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