2017年10月28日土曜日

大荒れ希望の党、裏切り者34人

政治家や政党にとって、政策・公約以上に重要なものはない。有権者が選挙で1票を投じる、最大の判断材料だからだ。ところが、「希望の党」の安全保障政策がブレ始めているという。小池百合子代表(都知事)が都政専念を公言したこともあり、約7割の民進党出身議員らが「先祖返り」を加速させる可能性がある。

事実となれば、「偽装民進党」「政策詐欺」に近いのではないか。一方、枝野幸男代表の「立憲民主党」は、衆院選で比例当選した議員のセクハラ報道を受け、党員資格停止処分を発表したが「大甘」という見方もある。政治家・政党の信頼が問われている。 

「(政策)協定書の中身は、民進党の方々の考え方と齟齬をきたさない。(懇談会で)確認した」

希望の党の樽床伸二代表代行は25日の両院議員懇談会後の記者会見で、こう言い切った。驚くべき発言だった。

同党は、朝鮮半島情勢が緊迫化するなか、現実的な外交・安全保障政策を掲げる「寛容な改革保守政党」として立ち上げられたはずだ。選挙公約の「危機管理」でも、《北朝鮮への対応やミサイル防衛を含め、現行の安全保障法制は憲法にのっとって適切に運用する》と明確に記し、安保法制を実質的に容認していた。

つまり、希望の党に投票した有権者は「非自民党」「非民進党」「非立憲民主党」で「安保法制を容認する、現実路線の保守政党」と認識していたといえる。

ところが、衆院選の途中から、党の政策と食い違う発言をする候補が出始めた。投開票が終わった途端、党幹部までが、民進党の「安保法制=違憲」という主張と、希望の党の主張は矛盾しないという見解を公然と示したわけだ。これは有権者への重大な裏切りではないのか。

政策転換の兆しは、朝日新聞27日付朝刊に掲載された、希望の党の当選者への共同調査(朝日新聞と東京大学)でも明らかになった。

安保法成立について、希望の党の候補者全体では「評価する」「どちらかと言えば評価する」は40%、「評価しない」「どちらかと言えば評価しない」は41%だったが、当選者(50人)に限ると評価寄りは13%で、評価しない姿勢を示したのは68%-というのだ。

同紙は「安保法制『反対』7割」「小池氏と隔たり」「希望の当選者」と見出しをつけ、「民進党からの合流組が多く当選したためで、今後は希望の『民進回帰』が進む可能性もある」と報じた。

10・22衆院選で、希望の党で当選した50人の68%といえば34人だ。そして、結党メンバーを除く旧民主党・民進党出身者も34人。当然、この34人全員が「安保法制反対」というわけではない。

民進党出身者らが“変節”を正当化する理屈にしているのは、希望の党から立候補するにあたって署名した「政策協定書」の以下の文言だ。

《現行の安全保障法制は憲法にのっとり適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する》

この文言について、民進党出身の今井雅人衆院議員は「合憲の範囲で運用し、後は見直しをしていくと書いてある」と記者団に語り、変節を否定したというが、第三者には「詭弁(きべん)」にしか聞こえない。

現に、小池氏は26日、協定書の内容について、「そのまま読んでいただければ、その通りだ」と記者団に語り、現行の安保法制を容認していると改めて強調した。

希望の党は27日午後、国会内で両院議員総会を開催。民進党の前原誠司代表は希望の党との合流が失敗した責任を取り辞任する意向を表明した。前原氏は30日の全国幹事長会議直後に正式に辞任表明し、新代表を31日にも選出する見通し。希望の党も両院議員総会で、小池百合子代表(東京都知事)を補佐し、国会議員を束ねる共同代表は当面置かず、幹事長兼政調会長に大島敦前民進党幹事長を充てることを決めた。

小池氏は代表を続投するが、国政とは距離を置くという。このまま、小池氏のコントロールが利かなくなれば、民進党出身者が7割超という希望の党は、どんどん左旋回していく危険性が高い。

政治評論家の屋山太郎氏は「希望の党が『憲法改正』と『安保法制容認』という旗印を引っ込めれば、『反安倍政権』一辺倒の民進党に先祖返りするだけだ」とこき下ろし、続けた。

「希望の党が注目されたのは、民進党内の『改憲賛成派』と『改憲反対派』を選別しようとした、小池氏の現実的な方針に期待が集まったからだ。そのスタンスを曖昧にすれば、党の存在価値はなくなる。元のもくあみだ。立憲民主党や共産党と連携するなら、まるで意味がない。立憲民主党の子分になるしかない。希望が輝く理由がなくなり、『希望の党は何だったんだ』という落胆しか残らない」   夕刊フジより

0 件のコメント:

コメントを投稿

日産ケリー前代表取締役の保釈決定 保釈金7000万円 東京地裁

金融商品取引法違反の罪で起訴された日産自動車のグレッグ・ケリー前代表取締役について、東京地方裁判所は保釈を認める決定をしました。検察はこれを不服として準抗告するとみられますが、裁判所が退ければ、ケリー前代表取締役は早ければ25日にもおよそ1か月ぶりに保釈される見通しです。一方、...