「核・ミサイル開発」を強行する北朝鮮への圧力強化策として、高度数十キロの高高度を超音速で滑空して目標を攻撃する新兵器「島嶼(とうしょ)防衛用高速滑空弾」が注目されている。軍事専門家は「北朝鮮の基地・策源地攻撃にも有用」と語るが、ついに日本も「敵基地攻撃能力の保有」に踏み切るのか。
「北朝鮮との(核問題をめぐる)対話が結実したことはない」「結果は分からないが、今は圧力を加えるときだ」
自民党の河井克行総裁外交特別補佐は先月、米ワシントンでの講演で、こう語った。そのうえで、自衛隊による中距離弾道ミサイルの保有や、2018年度予算で「高速滑空弾」の研究開発の加速を訴えた。
高速滑空弾は、ロケットモーターと滑空型弾頭で構成。超音速で、地上から高高度まで上昇し、その後、弾頭が切り離される。分離された弾頭は、不規則飛行しながら敵の迎撃ミサイルをかわし、GPS(衛星利用測位システム)誘導で目標地点を攻撃する。
防衛省は来年度予算の概算要求に「島嶼防衛用高速滑空弾の要素技術の研究」に100億円を計上した。同省は必要性について、「奇襲的に島嶼(とうしょ)部に上陸する敵機動部隊を速やかに無力化する」「超音速で高高度を滑空し、目標地点に短時間で到達し、島々へ上陸する敵機動部隊に対して攻撃可能となる」と説明する。
ただ、命中精度を上げるには、GPSの運用や敵基地の位置情報把握のための偵察衛星などの装備体系が必要となるが、日本は保有していない。
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮は「6回目の核実験」を強行し、先月15日には北海道上空を通過して「火星12」とみられる弾道ミサイルを発射するなど、世界の脅威となっている。
安倍晋三首相は8月、広島市内で「国民の生命と財産を守るため、何をすべきかという観点から常に現実を踏まえながらさまざまな検討を行っていくべきものと考えている」といい、「敵基地攻撃能力の保有」に含みを持たせた。
専門家はどうみるか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「防衛省は『島嶼防衛用』といっているが、沖縄県・尖閣諸島を守る装備にしては大げさだ。高速滑空弾は対地・対艦攻撃兵器であり、本当の狙いは北朝鮮や中国ではないか。精密誘導攻撃するには、日本独自の偵察衛星が必要。高速滑空弾と偵察衛星を一体運営してこそ、本来の能力が発揮できる。それには憲法9条や自衛権の定義など政治的に超えなければならない課題が多い」と語っている。
夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年10月26日木曜日
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