【安倍晋三首相】
本日は私の大切な友人であるドゥテルテ大統領を再び総理官邸にお迎えできることを大変光栄に思います。
1月にフィリピンを訪問した際には、地元・ダバオの自宅にお招きいただき、親交を深めることができました。ドゥテルテ大統領とは本日でこの1年間で4回目の首脳会談とな、親しい友人同士、胸襟を開いてさまざまな問題に関し、議論しました。
ミンダナオ・マラウイ市の解放宣言についてドゥテルテ大統領の指導力に心から敬意を表します。今後もテロとの戦い、そしてミンダナオの安定と発展に向けたドゥテルテ大統領の取り組みを全面的に支持します。
ドゥテルテ大統領は50周年を迎えるASEANの議長を務めておられます。ASEANが一体性を強化し、自由で開かれた共同体として発展することを日本は全面的に支持します。1週間後のASEAN関連首脳会議が成功されるよう、議長を努めるドゥテルテ大統領を最大限支援してまいります。
本日の会談では、1月のフィリピン訪問の際に表明した今後5年間で1兆円規模の官民貢献策を具体化した共同声明を発表しました。
マニラ首都圏の地下鉄及び南北通勤鉄道の需要整備、道路整備を含む地方都市開発及び防災面の質の高いインフラ協力を迅速に進めます。
マラウイ市の復旧・復興を最大限支援します。また日本のミンダナオの支援を強化し、新たな自主政府設立に向けたプロセスの進展に応えていきます。
フィリピンの法と知識を尊重する社会作りを支援するため、違法薬物対策に関する中長期行動計画を着実に実施します。
また、海上安全対策として、沿岸監視能力の強化への協力を進めるとともに、スールー、セレベス海を含む地域の安全強化のためのさらなる支援を行います。海上保安庁が今月設立した能力向上支援のためのモバイルコーポレーションチームが来月、マニラで初の研修訓練を実施する予定です。長年の協力関係を有するフィリピン沿岸警備隊に加えて、マレーシア、ベトナム、インドネシアの海上保安機関からも参加します。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた、協力のモデルケースとなることを期待します。
エネルギー、雇用創出、情報通信、環境農業、防災の各分野でも両国間の協力をさらに進めていきます。
ドゥテルテ大統領とは同じ海洋国家であり、基本的価値や、戦略的利益を共有する日本とフィリピンが北朝鮮の核・ミサイル問題、拉致問題の早期解決、自由で開かれたインド太平洋の実現、テロや違法薬物対策を含め、地域の共通の課題に協力して対応していくことを確認しました。
親しい友人であるドゥテルテ大統領とともに手を携えて、両国の友好の絆を一層深め、地域や国際社会の平和と繁栄に向けて協力して参ります。
【ドゥテルテ大統領】
安倍総理大臣、そして日本の代表団の皆さま、そしてまたフィリピンから来ております私の同僚の大臣たち、そしてプレスの皆さま、まずこの場をお借りして安倍総理に対し、温かいおもてなしをいただいていること、そして素晴らしいご手配をいただいていることに感謝申し上げたいと思っています。
今回は2度目の公式訪問ということになると思いますが、既に会合の時にも申し上げましたが、私ができる限り早く東京に来て、また再び総理にお会いしたいと思っていたのですが、事情が許さなかったというか、事件が起こりまして、先送りをせざるを得なかったということがございました。
ところが、総理は理解を示して下さいまして、マラウィで私たちが直面した課題についての支援を惜しまないということをおっしゃっていただきました。テロ、そして暴力的な過激主義への問題、そしてそれが終了した後、非常にタイムリーな形で支援をしてくださるということも約束して頂いております。
マラウィ市がようやく解放をされ、すなわちテロリストの手から逃れることができた。その後初めて訪れた外国が日本というのはまさに適切であると思っております。友人として、日本そして安倍総理は私を全面的に支持、支援して頂いたということがあるからです。今後は平和裏に、繁栄が進むことを願っております。また、今回は安倍総理率いる与党が大勝利を得られたということ、国民の負託を得られたということ、心からお祝い申し上げます。
今日は、大変心温まる、開かれた、そして包括的な議論ができたと思います。日本とフィリピンは戦略的パートナーシップのもと、さらに協力を拡大し、そして多面的な交流ができると信じております。両国とも、まだまださらに交流・協力を伸ばす余地も十分にあると考えております。
また大変嬉しいことに、日本は繰り返しこの1兆円、すなわち90億ドルに近い支援にコミットしてくださるということをおっしゃっています。この支援によって、様々な分野、日本とフィリピンが必要としている高額な大規模なインフラを、経済成長を一層促進するために、今後整備していくことが可能になります。野心的、かつ画期的な事業が計画の中に入っておりまして、例えばマニラ首都圏の地下鉄ですとか、また地方の開発事業というのも含まれております。
日本には重ねて感謝を申し上げたいと思っております。正義あるそして永続する平和をもたらすために、ミンダナオにおける我々の努力を全面的に支持してくださったこと。そしてこのプロセスを通じて、常に現場で日本は手を貸してくださっているということ。そして、被害にあった人々の暮らしを立て直すうえで支援を惜しまないとおっしゃっていただいていることです。
また両国とも今後とも様々な支援を行い、経済活動を一層活発化したいと考えております。日本とフィリピンの相互の投資の促進というのは歓迎されるべきであります。責任ある企業が新たな成長のパートナーとして来られること、われわれも準備したいと思っています。
また両国は協力してこの地域の安全保障、そして安定のための様々な課題への対処をしていきたいと思っております。とりわけ朝鮮半島については、度重なるミサイルの発射・実験に我々は抗していかなければなりません。われわれは挑発行為に対し、非難の声を上げています。そして全ての当事国に呼びかけて、再び平和について話し合うテーブルにつくよう呼びかけております。
今日はこのように首脳会談を持たせていただきました。明日は天皇陛下にお目にかかる栄誉に浴することになります。日比の外交50周年の年に、天皇皇后両陛下にフィリピンを訪問していただいて、大変親切な、様々な心遣いを示して頂いたこと、私は心より感謝をしております。明日は、私がいかに天皇陛下を尊敬申し上げているかということをお伝えしたいと思います。
我々はさまざまな形でコミットメント、そして決意をこれまでも示して参りました。今後とも一層協力の絆を拡大して参りたいと思っております。これまで、フィリピンと日本との戦略パートナーシップは様々な成果を上げてきたと思いますが、これからは戦略パートナーシップの黄金時代を一緒に築いていければと思います。
我々は民主的な価値観の基盤の上に共通のコミットメントをこれまでも示してまいりました。この価値観というのは、われわれが心に近く思うものであり、そして時の試練を経て石に刻まれたようなものになっているということであります。今後とも様々な形で、この協力を進める。これまで長年にわたってきたこのような交流を一層大事にしていければと思っています。 産経ニュースより
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