次世代の電池として、燃料電池と太陽電池はこれまで別々に開発されてきました。本研究では、「自然界の水素酵素と光合成の機能を融合した新しい触媒」を開発しました。この触媒を用いると、「水素をエネルギー源として燃料電池が、水と光をエネルギー源として太陽電池が駆動する」ことを見出しました。本研究成果はエネルギー研究の分野において格段の発展と波及効果をもたらす可能性があります。
本研究は、文部科学省科学研究費補助金・特別推進研究「ヒドロゲナーゼと光合成の融合によるエネルギー変換サイクルの創成」の研究の一環として、九州大学の小江誠司主幹教授の研究グループが、九州大学大学院工学研究院、小分子エネルギーセンター(センター長 小江誠司)、I2CNER(所長 ペトロス・ソフロニス)、田中貴金属工業株式会社、及び福岡市産学連携交流センターで行ったものです。
本研究成果は、ドイツの学術雑誌『ChemCatChem』オンライン版で2017年10月5日に公開されました。
(参考図)「H2」の赤丸は「水素酵素(ヒドロゲナーゼ)を範とした燃料電池のアノード(外部回路へ電子(e-)が流れ出す電極)」を、「H2O」の緑丸は「光合成(光化学系II)を範とした太陽電池のアノード」を、「O2」の青丸は「呼吸(シトクロームcオキシダーゼ)を範とした共通のカソード(外部回路から電子が流れ込む電極)」を表しています。
研究者からひとこと
自然界からヒントを得て、光がない時(夜間)は、「水素」を電子源とする水素酵素のごとく、光がある時(昼間)は「水」を電子源とする光合成のごとく駆動する触媒・電池の開発を思いつきました。この開発がきっかけとなって、将来、水素は夜間のための燃料となり、昼間は水をタンクに入れれば、車が走る時代が到来することを期待します。
九州大学より
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