2017年5月23日火曜日

韓国、青年失業率が過去最悪…文在寅氏の公約「81万人の公共雇用創出」で行き着く先は、国の財政悪化!?

文在寅(ムン・ジェイン)新大統領の誕生に伴い、雇用改革が韓国内政の焦点となっている。韓国では若年層を中心に失業率が過去最悪の水準となった。文大統領は、任期中の「非正規ゼロ」実現をスローガンに、公務員拡大など公共部門で81万人の雇用創出を掲げたが、実現性には疑問符がつく。韓国のインターネット掲示場では「米国、日本に就職移民したらいい」と不穏な発言も相次いでいる。

若年層の失業率、過去最悪の水準
 
韓国統計庁が5月11日に発表した「4月の雇用動向」によると、15歳~29歳の若年失業者数は50万5000人に上った。若年失業率は前年同月比0.3ポイント悪化の11.2%となり、現行基準での調査を始めた1999年以降、4月としては過去最悪の水準だ。国内の就業者全体の失業率も0.3ポイント悪化の4.2%となり、4月としては2000年以来17年ぶりの高い失業率となっている。

特に若年層の失業率悪化は、民間企業の求人需要が不振だったことが理由だという。国内の失業者数(117万4000人)のうち、4割超を若年層が占める。さらに、こうした若年層のなかで職歴を持たない失業者は拡大している。中央日報によると、20~39歳で就業経験を持たない失業者数は、今年1~3月期で9万5000人に上ったという。同期間の就業経験のない失業者全体(11万5000人)の約82%を若年層が占めた。企業が新卒採用を抑制し、韓国の若者が厳しい“就職氷河期”にさらされている実情がうかがえる。

聯合ニュースは今年1~3月の若年失業率が、米国や欧州連合(EU)、日本で軒並み改善したことと対照的に、韓国の若年失業率が悪化したことを受け「主要国で唯一、韓国だけが悪化した」と報じた。聯合ニュースによると、経済協力開発機構(OECD)加盟国で同期間の青年失業率が悪化したのはラトビアやチリ、オーストリアと韓国の4カ国だけだったという。

広がる格差、若者が中小敬遠

韓国の受験戦争は世界でも指折りの厳しさで知られる。韓国の若者は厳しい競争を勝ち抜き、さらに留学やTOEICでの高得点など履歴書を飾る技能を磨いて、就職戦線に臨む。しかし、4年制大卒者の就職率は3年連続で下落し、2015年には64.4%に低下した。特に大企業の雇用は限られている。財閥系の一流企業に就職できるのは100~200人に1人ともいわれる。極めて狭き門だ。

しかも、聯合ニュースによると、韓国の中小企業の労働者の平均賃金は月額323万ウォン(約31万円)で、大企業の513万ウォン(約50万円)の約6割にとどまる。また、非正規労働者の昨年の平均賃金は、正規社員の53.5%と、大きな格差がある。体面を重んじる韓国では、大企業や公務員以外の労働条件が劣る職業は敬遠されがちだ。

日本ならば超一流の大企業でなくとも、地域に根ざした優良企業や、小さくともキラリと光る技術をもった中小企業など選択の幅は少なくない。それだけに、韓国のポータルサイト大手、ネイバーの掲示板には「高学歴の若者は行き場がないというが、中小企業は人手不足だ」「大企業や官公庁だけが仕事で、中小企業やブルーカラーの仕事には入ろうとしない」などと、若年層の姿勢に批判的な声も少なくない。

文政権 若者の不満、解消なるか

「公共部門の非正規職ゼロ時代を開きます」

5月11日、仁川国際空港を訪れた文大統領は、集まった空港職員らを前にこう宣言した。同空港の正社員は昨年10月時点で約1300人。一方、非正規社員は約6800人に上る。集まった非正規社員の中には、喜びのあまり涙ぐむ女性の姿も見られた。

選挙公約として「81万人の公共雇用創出」と、「非正規職の正社員化」などを掲げた文大統領は、当選直後に業務指示第1号として、日本の厚生労働省に相当する雇用労働部に官民組織「雇用委員会」を設置。また統計庁も公共部門における雇用統計の新設に向け、議論を始めた。公共部門の雇用統計を元に、約31万人とされる公共部門の非正規職を正社員化するほか、約10兆ウォン(約9800億円)の追加補正予算を編成し、雇用対策を打ち出すという。

大統領の「鶴の一声」に無条件で服従する韓国の体勢は、政権交代があっても変わらない。仁川空港公社の鄭日永社長も、ただちに社内にタスクフォースを立ち上げ、非正規社員を年内に正社員化するほか、新規雇用の拡大に向けた検討を始めた。

ただ、公務員をはじめとする公的雇用の拡大に伴う、財源については不透明なままだ。文大統領は選挙戦の期間中、81万人の雇用創出に伴い「毎年4兆~5兆ウォン(約4000億~5000億円)、5年間で21兆ウォン(約2兆円)が必要だ」と述べたが、具体的な財源については言及していない。また、新卒者ならその後40年あまりを雇用する必要があるが、その間の人件費負担増についても明確な言及はない。

文大統領の公約通りに公共雇用が拡大した場合、韓国財政に深刻な影響を与える恐れがある。文政権の雇用政策は即効性を優先し、大衆に迎合するポピュリズムに他ならない。同じ非正規職の待遇改善とはいえ、働き方改革の一環で「同一価値労働、同一賃金」の実施を急ぐ日本とは対極にあるといえそうだ。 産経ニュースより

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