2017年5月23日火曜日

正恩氏、国内クーデターに焦り…北ミサイル連発真相 水面下で米「政権転覆工作」進行か

北朝鮮は21日夕、今年8回目の弾道ミサイル発射を強行した。米国や中国のレッドライン(越えてはならない一線)とされる、核実験やICBM(大陸間弾道ミサイル)を避けたが、国際社会への許しがたい挑発なのは間違いない。初めての「夕方発射」の意図と、「日本が標的」という識者の分析とは。北朝鮮が国営メディアで成功をうたい、国威発揚を図っている背景として、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がクーデターや反乱を恐れ、体制の引き締めに躍起となっているとの見方もある。

北朝鮮の国営メディア、朝鮮中央通信は22日、新型中距離弾道ミサイル「北極星2」の発射実験に「成功した」と報じた。実験には、正恩氏も同席したという。

「北極星2」は今年2月にも発射されたミサイルで、約500キロ飛行した後、日本海に落下した。実戦配備のための「最終実験」というが、ICBMではないことが重大な意味を持つ。

ドナルド・トランプ米政権は「レッドライン」として核実験とICBMを定めている。正恩氏が今年元旦、新年の辞でICBMの試射準備について「最終段階に達した」と述べると、トランプ氏は翌2日にツイッターで、「そんなことは起こらない」と即反論した。

北朝鮮はその後も、核やICBMに言及して、国際社会を威嚇しているが、実際の行動には踏み切れないでいる。裏には、いざ核実験やICBM試射に踏み切れば、トランプ政権が北朝鮮に対し、どのような行動に出るか分からないというおびえがうかがえる。

弾道ミサイルが、初めて夕方に発射されたことも注目だ。

これまでの7回の発射時間帯を見ると、2月12日の午前7時55分ごろから徐々に早くなり、今月14日には、同5時28分ごろに行われていた。今回の「午後4時59分」という特異な時間の実施は、「いつでも発射できる」という奇襲能力を誇示した可能性がある。

関係各国の隙を狙った疑いもある。トランプ大統領はサウジアラビアを訪問中。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も休養も兼ね、青瓦台(大統領府)ではなく、自宅に滞在していた。

世界最強の米原子力空母「カール・ビンソン」は朝鮮半島周辺に展開し続け、16日には米海軍横須賀基地を母港とする原子力空母「ロナルド・レーガン」が同基地を出港した。6月には2隻による演習が予定されているとも伝えられ、異例の2隻態勢が実現する。

対北制裁の「抜け穴」となり、甘い態度を続けてきた中国も核実験となれば、厳しい対応に転じざるを得なくなる。

朝日新聞は22日朝刊で、習近平国家主席が4月の米中首脳会談で、トランプ氏に対し、具体的な行動(軍事行動?)を取るまでの猶予期間として「100日間」を求めていたと報じた。事実なら、中国は7月までは圧力をかけ続けるとみられるが、北朝鮮には米軍の攻撃に備える時間的猶予ができた可能性もある。

北朝鮮は「脱中国」でも動き出した。今月には北朝鮮の羅先(ラソン)とロシアのウラジオストクを、貨客船「万景峰(マンギョンボン)」で結ぶ、新たな定期航路が誕生した。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「中国は『核実験を実施したら石油輸出を止める』と制裁を示唆しているが、北朝鮮としては『中国がダメならロシアに支援してもらう』ということだろう」と話し、現在の情勢を次のように読み解く。

北朝鮮は、周辺諸国に『狂っている』と思わせることが、父の金正日(キム・ジョンイル)総書記時代からの外交戦略でもある。米国のレッドラインである核実験を行い、空爆をされては困る。米国側も当面は慎重だろう」

トランプ政権は「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」といい、軍事力以外の手段も検討している。その1つが、情報機関主導の「工作」による正恩政権の転覆だ。

米政治サイト「ワシントン・フリービーコン」で18日、注目すべき記事が伝えられた。

CIAのマイク・ポンペオ長官が今月中旬、韓国を極秘訪問し、昨年亡命した北朝鮮の太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使と会談した。北朝鮮国内で正恩体制への反乱を扇動することの可否など話し合ったという。太氏は、北朝鮮の国内は反乱を促しやすい状況にあると説明したというのだ。

評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏も「クーデターや崩壊のリスクが、昨年に比べて高まっているのは間違いない。30代の正恩氏がトップで大将より偉い立場にいるが、人間的な魅力がない。儒教国家なのに実兄や伯父らを殺害している。クーデター計画や暗殺計画は過去何回かあった。内部の不満が高まっている」と語る。

CIAは最近、対北朝鮮の専門組織を新設したと伝えられている。水面下で「正恩体制転覆工作」が続いている可能性は十分にある。 夕刊フジより

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