2017年5月22日月曜日

歴史を激変させた「バタフライ効果」5事例 .

人生とは実に不思議なもので、時として一見すると無意味に感じられる物事が、後に歴史さえ狂わせることもある。とりわけ、些細な変化によってその後の状態が大きく異なってしまうという「バタフライ効果」と呼ばれる現象は、戦争を引き起こしたり一国の主導者を変えるなど、過去の歴史において最も重要な出来事をもたらしてきた。今回は、そのバタフライ効果が関わる“世界を変えた出来事”を5つ、厳選して紹介しよう。

■未開封の手紙が引き起こしたベトナム戦争

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画像は、「Wikipedia」より

時は1919年、第28代アメリカ大統領のウッドロウ・ウィルソンは、フランスのベルサイユ宮殿で開かれた「パリ講和会議」に出席し、とある社会主義者の若者から手紙を受け取った。手紙の送り主は、後に“ベトナム建国の父”として知られることになるホー・チ・ミン。若き日のホーは、アメリカ独立宣言に触発され、当時フランス占領下に置かれていたベトナムが独立するための手助けを大統領に懇願する内容を綴っていた。しかし結局、ウッドロウが手紙を開封することはなく、アメリカに失望したホーはソビエト連邦へと渡りマルクス主義を修学。その後、1945年に「ベトナム八月革命」を成功させて社会主義政権を樹立、ベトナム民主共和国の大統領となった。そして1965年、ついに米国とのベトナム戦争へと突入していったのだ。1通の手紙が、まさか後に戦争を引き起こすことになろうとは、当時誰の頭にも思い浮かばなかったことだろう。

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画像は、「Alchetron」より
 
■バーの喧嘩が引き起こしたイギリスのEU離脱

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画像は、「Daily Record」より

昨年6月、イギリスで欧州連合(以下、EU)からの離脱の是非を問う国民投票が行われ、離脱支持派が反対派を僅差で上回り、世界中に衝撃が走った。「Brexit(ブレグジット)」と呼ばれるイギリスのEU離脱問題は、2012年に当時労働党議員だったエリック・ジョイスが起こしたバーでの暴動が引き金なのだという。当時、ウェストミンスター宮殿のバーで、酒に酔ったエリックが「保守派が多すぎる!」と叫びながら周囲の客を殴り始めた。この一件が発端となり、労働党は国民から非難の集中砲火を浴び、党首交代を余儀なくされた。しかし、EU残留派である労働党への国民からの風当たりは一向に弱まることなく、結果としてイギリスはEU離脱へと大きく動き出すことになったのである。まさか1発のパンチが、世界に大きな影響を与えることになろうとは。

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画像は、「Daily Record」より
 
■報道官の勘違いが招いたベルリンの壁崩壊

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画像は、「SPIEGEL ONLINE」より

1989年11月、旧東ドイツ政府が開いた記者会見で、当時共産党の政治局員だったギュンター・シャボフスキーが世界を震撼させるほどの誤報を発した。その時、彼は東ドイツ政府が旅行許可に関する出国規制緩和を打ち出す方針だと明かしたのだが、書類には詳細な実施日の記載は無し。記者の1人がそれを尋ねると、シャボウスキーは「私が思うに現時点からでしょう!」と返答したのだ。しかし、正式な日程の発表は後に行われる予定だったそうで、この発言は完全なる勘違い。結果、報道直後にハンマーを手にした民衆がベルリンの壁へと押し寄せ、壁を崩壊させたことで東西ドイツ分裂の歴史は幕を閉じ、1990年10月にドイツの再統一が実現した。

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画像は、「SPIEGEL ONLINE」より
 
■ホロコーストを招いたイギリス軍人の慈悲

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画像は、「BBC NEWS」より
 
第1次世界大戦下の1918年、イギリス軍人ヘンリー・タンディーはフランス国内に部隊を展開していたドイツ軍と激しい闘いを繰り広げていた。ある日、緊迫した戦場から追い詰められたドイツ兵が退避していく中、ヘンリーは1人のドイツ兵に銃口を向けた。しかし、銃口の先にいる兵士が負傷していることに気づいたヘンリーは、彼をそのまま逃がしたのだ。なんとこの時、ヘンリーが逃がしたドイツ兵こそ、後にユダヤ人の大量虐殺を行う独裁者アドルフ・ヒトラーだった。この逸話には数々の憶測が飛び交っており、中には虚偽の内容だと推測する研究者もいるほど。しかし、後に英国グリーンハワード博物館で、1937年にヒトラーの助手が英国へ送ったと思しき感謝の内容が綴られた手紙が発見されている。英国軍人の紳士な対応が、歴史上稀にみる独裁者をこの世に放ってしまったのだ。

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画像は、「BBC NEWS」より

■現代のテロを生んだ市議会議員の子犬殺し

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画像は、「Alchetron」より

1933年、米国テキサス州に住む市議会議員のチャールズ・ハザードは、近隣住民が飼う子犬が自宅の花壇に放尿を続けることにうんざりしていた。我慢の限界に達したチャールズは、ある日、犬のエサを入れた皿の中にガラス片を混入させて子犬を殺害してしまう。この非道な行為が、後に現代のテロを生み出す原因になるとも知らずに。飼い犬を殺された当時13歳の少年チャーリー・ウィルソンは、チャールズへの復讐を固く誓った。そして彼は、近隣住民にチャールズの悪行を吹聴して回り、結果としてチャールズはその後の選挙で票が集まらず落選するのだ。この件がきっかけとなり政治に興味を持ったチャーリーは、後に政治家の道へと進み、やがて合衆国議会の議員へと出世。当時ソビエト連邦と戦闘を繰り広げたアフガニスタンを支援する策を打ち立て、見事同国を勝利へと導き、ソビエト崩壊の一端を担うことになった。しかし、支援を受けたアフガニスタンでは、後にテロ組織である「タリバン」と「アルカイダ」が組織されたことで、全世界は歴史上かつてないテロの脅威に晒されることとなった。まさに、些細な出来事が後に世界中を巻き込むバタフライ効果そのものと呼べる事態に発展してしまったのだ。

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画像は、「CHRISTIAN ACTION NETWORK」より

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