ドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の軍事的威嚇を阻止する態勢を整えた。朝鮮半島周辺の西太平洋に、迎撃ミサイルを搭載したイージス艦を16隻も集結させたのだ。過去の同様事態に比べて2倍の布陣で、猛毒サリンなどの化学兵器を乗せたミサイルにも対処するとみられる。さらに核兵器を除き、史上最大の爆弾とされる大規模爆風爆弾(MOAB=モアブ)による空爆をアフガニスタンで実施し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に見せつけた。北朝鮮が「6回目の核実験」や「ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射」をチラつかせるなか、米NBCテレビは13日、「米軍が北朝鮮への先制攻撃準備」と報じた。
トランプ氏は13日、ツイッターに以下のように書き込んだ。
「私は、中国が北朝鮮に適切に対処するだろうと、大きな確信を持っている。彼らにそれができなければ、米国は同盟国とともにやる。USA」
中国の習近平国家主席に対し、北朝鮮への「原油の供給停止」などの制裁を発動して正恩氏を屈服させることを迫る一方、無理な場合、日本や韓国と連携して対処する決意を示したものだ。
だが、北朝鮮の強硬姿勢は変わらない。
北朝鮮外務省のシンクタンク「軍縮平和研究所」は同日、「わが軍は、米国がピクリとでも動けば、無慈悲な報復攻撃で敵対勢力の頭上に核の雷を落とす」と警告する報道官談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。どこが「軍縮」「平和」なのか理解不能だ。
正恩氏が「金日成(キム・イルソン)主席の生誕105周年」である15日に合わせて、「6回目の核実験」や「ICBM発射」を命令する可能性はまだ高い。
「6回目の核実験」については、具体的兆候が確認されている。
米ジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」は12日、北朝鮮の北東部豊渓里(プンゲリ)にある核実験場で、核実験の「準備が完了し、待機中」という衛星写真の分析を明らかにした。指揮施設の周辺で人員が活動し、過去に核実験が行われた北側坑道の入り口に小型車両かトレーラーとみられる車が確認されたという。
官邸周辺も「先週時点で『核実験の準備完了』という情報は得ている。解除する方が危険との見方もある。90%程度の確率で『6回目の核実験』は行われるのではないか」と語った。
「ICBM発射」の可能性もある。
正恩氏は今年元旦、施政方針にあたる「新年の辞」を発表し、ICBMの試験発射について「準備が最終段階にある」「核武力が中核の自衛的国防力と先制攻撃能力を強化する」と強調した。
「地球規模の脅威」といえる北朝鮮の威嚇に対し、米国は世界最強の軍事力で対応する。
米NBCテレビは13日、複数の米情報機関当局者の話として、米軍が通常兵器による先制攻撃の準備をしていると報じた。北朝鮮が「6回目の核実験」を敢行するとの確証を得た段階で攻撃を行うとしている。
米国防総省はこの報道について「コメントしない。司令官は常にあらゆる手段について検討している」と回答した。
これと符合するのか、中央日報は同日、朝鮮半島周辺の西太平洋にイージス艦16隻が集結したと報じた。
イージス艦は、シリア攻撃でも戦果を挙げた巡航ミサイル「トマホーク」などを搭載し、極めて強力な攻撃力を持つ。さらに、全周囲を警戒できるフェイズド・アレイ・レーダーにより、200以上の目標を同時追跡し、脅威の高いものを割り出し、10以上に攻撃可能という。最新鋭の迎撃ミサイル「SM3」も搭載しており、ICBMなど弾道ミサイル対処も可能だ。まさに「鉄壁の防御力」を持つ。
トランプ政権はさらに、強力な新型兵器を見せつけた。
米軍は13日、アフガニスタンで過激派組織「イスラム国」(IS)のトンネル施設を対象に、大規模爆風爆弾(MOAB)による空爆を実施した。核兵器を除き、米軍が保有する爆弾の中で最大の破壊力を持つとされる。米メディアによると実戦使用は初めて。
北朝鮮は、正恩氏の避難施設や軍事施設を地下に構築している。米軍はすでに地中貫通爆弾「バンカーバスター」を保有しているが、それ以上の強力爆弾を誇示することで、北朝鮮に警告を発したとみられる。
トランプ氏は、記者団に北朝鮮へのメッセージかどうかは明言せず、「北朝鮮は問題だ。問題は解決する」と語った。
世界最大の原子力空母「カール・ビンソン」に加え、イージス艦16隻も配備したことは、トランプ政権の覚悟と決意の表れなのか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「イージス艦16隻とは、これまで北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、米軍が周辺海域に配備した数のほぼ2倍だ。北朝鮮がICBMや日本への弾道ミサイルを4、5発一気に発射した場合に備えての作戦だろう。北朝鮮は米国に対して『先制攻撃』をほのめかしているが、ミサイルを迎撃することで、それが無理だと分からせるため、これだけの数の艦をそろえたのではないか。逆にいえば、米国もこれまで以上に、北朝鮮の行動を深刻に考えている表れだ」と語った。 夕刊フジより
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