2016年9月11日日曜日

南欧諸国がEU再建策

南欧7ヶ国の首脳らは9日、アテネで南欧サミットを開き、緊縮政策の緩和や雇用創出、難民らの受け入れに関する欧州連合への要望をまとめた「アテネ宣言」を採択しました。

英国のEU離脱決定の波紋が広がる中、南欧諸国が共同でEU再建策を示した格好です。参加国は、16日のEU非公式首脳会議で同宣言に基づく提案を行うとみられます。

南欧サミットは、ギリシャのチプラス首相が呼びかけたもの。会議にはギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランス、キプロス、マルタの7ヶ国が参加しています。

チプラス氏は開会に当たり、参加国の共通点として経済危機と難民危機で不公平な打撃を受け、移民流入の圧力を受け、不安定な中東・北アフリカ諸国に隣接していると指摘。協議を通じて、EUとユーロ圏の結束に向けた積極的な貢献を目指す意向を示しています。

アテネ宣言は欧州の経済と社会モデルの再構築を目指すとしており、経済成長や難民問題、安全保障の各分野でEUが取るべき施策を提案しています。

経済面では、EUが主導した緊縮策で失業者が増大し、貧困が拡大したことを受け、雇用創出に向けたEUの資金援助を大幅に拡充するように要求。とりわけ、高失業率に苦しむ若年層への支援強化を求めています。

難民問題では欧州の玄関口となっているギリシャ、イタリアに負担が集中している現状を打開するため、EU各国による、責任の共有を要望。大量の移民・難民流入により、各国で移民排斥を掲げる極右政党が台頭する中、民族主義や外国人嫌悪は許容出来ないとの立場を確認しています。

この他、欧州で相次ぐテロ対策として、各国治安部隊と情報機関の協力促進や市民の過激化防止策と防衛産業の強化を求めています。

一方、緊縮策を推進し債務問題をめぐりギリシャとの関係が悪化しているドイツからは、南欧サミットへの厳しい意見が相次いでいます。

ショイブレ独財務相は同サミットについて、各国中道左派政党の党首会議であり、賢明な何かをもたらすことはないと批判。欧州議会会派・欧州人民党(EPP)のウェーバー党首も、オランド仏大統領やレンツィ伊首相がチプラス氏に利用されていると皮肉りました。

7ヶ国は今後も南欧サミットを継続する事を確認。次回はポルトガルで開催する予定です。

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