中国政府が香港の独立に向けた動きを非難するのは、今に始まったことではない。中国共産党の間で香港は、イギリスの植民地だった名残で欧米の政治思想に毒された反乱分子が集う場所と見なされている。
そうした共産党の疑念に呼応するかのように今、香港で「独立運動」が起きている。この運動の支持者らが求めているのは自由選挙の徹底や本土からの完全独立ではない。彼らの望みとは、香港をイギリス領に復帰させ、エリザベス女王を元首に頂くというものだ。
より急進的な勢力の間でも、さすがにこれはとっぴな考えとして受け取られるだろう。彼らですら、中国政府にもっと自治を認めさせるという、謙虚な目標しか掲げていない。
しかし、この「香港・英国再統一運動」は規模こそ極めて小さいものの、支持者らは至ってまじめだ。
30代のグラフィックデザイナー、頼綺雯(ライ・チーウエン)は今月初めに実施された立法会(議会)選挙に出馬し、運動を推進しようとした。だが出馬の申請は即座に不受理となり、彼女のほかにも5人の出馬希望者が香港の独立を扇動しているという理由で届け出を却下された。
最終的な選挙結果では、親中派が40議席を得て過半数を維持したものの、普通選挙を目指す「民主派」と、香港を本土と見なす急進勢力「本土派」が合わせて30議席を獲得した。
共産党の干渉が強まる
香港独立を望む声は決して少数派というわけではない。最近香港で実施された世論調査によると、6人に1人は「独立に賛成する」と答えている。とはいえ、今回出馬を認められなかった6人の中でも、香港の英国領復帰という大胆なビジョンを思い描いているのは頼だけだ。
香港は150年以上にわたってイギリスに統治され、97年に中国に返還された。このとき中英両国は、「高度な自治」と「一国二制度」の原則を香港に約束することで合意した。
しかし中国共産党は近年、香港の親中派からの支持を盾に、香港への締め付けを強化してきた。独立派が権力を掌握することがないよう、香港で選挙が行われる際には候補者を精査。中国政府を批判する香港人が共産党に拉致される事件まで起きている。
香港では広東語が広く使われているが、公立学校で標準中国語の履修が必修化されたために、広東語が消滅するのではないかと懸念する声も広がっている。こうして中国政府による香港への干渉が強まっているため、大陸は香港返還時の条件を事実上ほごにしていると、イギリス領復帰派は訴えている。
頼の思い描く夢のシナリオは――現状に対する香港人の憤りを受けて、イギリスが香港の主権を再び主張するようになることだ。しかし万が一イギリスがこうした動きに出れば、重要な貿易相手国である中国との関係を大いに損ね、世界にも困惑が広がるだろう。
にもかかわらず、運動支持者らは望みを捨てていない。頼は訴える。「香港は中国本土より洗練されており、法の秩序や英語など、イギリスの価値観も多く共有している。例えば、私たちは(本土の人々と違って)ゴミはゴミ箱に捨てる」
頼は、さらに続けた。「これは始まりにすぎない。私たちはこの問題についてさまざまな方法で香港人に訴えていくつもりだ。まず、香港人には自己決定を下す権利があることを示す。これは何よりも大切なことだ」 NEWSWEEKより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年9月18日日曜日
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