2016年9月23日金曜日

庭から空へ、家庭用電力飛行機の開発進む 18年にも販売か

気象条件の良い昼間にだけ飛ぶよう設計されている

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
(CNN) 壁のソケットで充電して庭から離陸、電気エンジンは静粛性が高く隣近所の迷惑にもならない――。ドイツの大学院生らがそんな家庭向け電気飛行機の開発を進めている。

この超小型電気飛行機は「リリウム」と名付けられた。卵形の複座機で、ヘリコプターのように垂直に離着陸できる。試作段階だが、技術者によれば、最高時速400キロに達し、航続距離も500キロに及ぶとされる。ドイツの設計チームは2018年までに一般販売につなげたい考えだ。
リリウムの開発プロジェクトは独ミュンヘン大学の大学院生4人が立ち上げた。起業に際しては欧州宇宙機関(ESA)の支援を受けている。

創設メンバーの1人、ダニエル・ビーガンド氏はESAを通して出した声明の中で、実用面や環境面の利点を強調。空港のような巨大インフラがなくても日常的に使える航空機を開発するのが目標だとしている。

都市近郊でも使えるようにするため、電気エンジンを採用して騒音や環境汚染の低減を図った。エンジンにはダクトファン式を採用しており、ヘリや従来のプライベート・ジェットよりもはるかに静かになるという。バッテリーは一般家庭用の電力で充電できる。

コンセプトの段階とはいえ、欠点がないわけではない。気象条件の良い昼間にだけ飛行する設計となっているほか、空域が混雑していないことも必要だ。実際の離着陸に使われるのはやはり飛行場が中心となりそうだ。ただESAによれば、将来的には家の裏庭など、どこからでも垂直離陸できるようにするのが目標だとしている。

「スポーツ用軽量航空機」に分類されており、飛行にあたっては最低20時間の訓練とパイロット免許が必要になる。

値段は未定だが、現在販売されている同サイズの航空機に比べ大幅に安く購入、運用できるようになる見通しだという。

現時点では縮尺モデルの試作に成功した段階。今年中に実寸大の無人機を試作する計画だ。ビーガンド氏は「長期的には、超富裕層以外でも買えるような航空機を作るのが目標。多くの人がプライベートな空の交通手段として航空機を利用できるようになれば」と話す。
 

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