絶滅のおそれがある野生生物の保護をはかるワシントン条約の締約国会議が南アフリカで開幕し、アフリカゾウを密猟から守るため象牙取引を全面的に禁止する取り組みや、世界的なウナギの資源保護などについて、議論されることになっています。
絶滅のおそれがある野生生物の国際的な取り引きを規制するワシントン条約の締約国会議は、24日、南アフリカのヨハネスブルクで、およそ180の国の代表などが出席して、開幕しました。
開幕式で南アフリカのズマ大統領は、サイなど野生生物が密猟によって深刻な被害を受けているとして、各国が協力して対策にあたるよう訴えました。
今回の会議の最大の焦点は、象牙を狙った密猟が横行し個体数が大幅に減っているアフリカゾウの保護で、1990年から象牙の国際的な取り引きが原則禁止されているものの、密猟を根絶するには各国の国内の取り引きも禁止する必要があるとして、アフリカ諸国などが新たな決議案を提出しています。
また会議では、ニホンウナギをはじめ世界各地でウナギが減り絶滅のおそれが高まる中、EU=ヨーロッパ連合が国際的な取り引きの調査を提案していて、議論の行方が注目されます。
会議は、NGOや専門家なども含め3000人以上が参加して、来月5日まで開かれることになっています。
開幕式で南アフリカのズマ大統領は、サイなど野生生物が密猟によって深刻な被害を受けているとして、各国が協力して対策にあたるよう訴えました。
今回の会議の最大の焦点は、象牙を狙った密猟が横行し個体数が大幅に減っているアフリカゾウの保護で、1990年から象牙の国際的な取り引きが原則禁止されているものの、密猟を根絶するには各国の国内の取り引きも禁止する必要があるとして、アフリカ諸国などが新たな決議案を提出しています。
また会議では、ニホンウナギをはじめ世界各地でウナギが減り絶滅のおそれが高まる中、EU=ヨーロッパ連合が国際的な取り引きの調査を提案していて、議論の行方が注目されます。
会議は、NGOや専門家なども含め3000人以上が参加して、来月5日まで開かれることになっています。
ウナギ 提案の背景にEUの危機感
今回のワシントン条約の締約国会議で、EUが「ニホンウナギ」を含む、世界各地のウナギの国際取引や漁獲の実態調査を提案した背景には、国際取引の不透明さが乱獲を招いているとして、世界的なウナギの資源の保護に向けて、最大の消費国・日本などに対策の重要性を訴えたいEUの危機感があります。
ウナギをめぐっては、およそ30年前から日本に盛んに輸入された「ヨーロッパウナギ」が、稚魚をとりすぎたことが原因で生息数が大幅に減少し、2008年に国際自然保護連合によって絶滅危惧種に指定され、翌年の2009年からワシントン条約で国際取引が規制されています。
その後、日本や中国など東アジア地域に生息する「ニホンウナギ」も大幅に減少し、おととし(2014年)絶滅危惧種に指定されたほか、「アメリカウナギ」や東南アジアのウナギなども減少し、世界各地で、ウナギが絶滅する危険性が高まっているとされています。
こうした中、最初にウナギの危機に直面したEUは、「ウナギの漁獲や国際的な取引に不透明な部分があり、そのことが、世界各地のウナギを、絶滅の危機に追い込んでいる」として、今回のワシントン条約の締約国会議でウナギの最大の消費国、日本を含めた国際取引の実態調査を提案しました。
提案の中で、EUは、「ニホンウナギ」について、生息地である日本などの東アジア地域で、漁獲や国際取引について実態の把握が十分に行われていないほか、違法な取引が行われている懸念もあると指摘しています。
今回の会合で、EUの提案が認められ、実際に調査が行われることになれば、日本は取引の実態について国際社会に示す必要が出てきます。調査の結果に国際社会の理解が得られない場合は、ニホンウナギの国際取引の規制など次の段階に進んでいく可能性があります。
今回のEUの提案は、世界的なウナギの資源の保護に向けて、日本などに対策の重要性を訴える強いメッセージが込められています。
ウナギをめぐっては、およそ30年前から日本に盛んに輸入された「ヨーロッパウナギ」が、稚魚をとりすぎたことが原因で生息数が大幅に減少し、2008年に国際自然保護連合によって絶滅危惧種に指定され、翌年の2009年からワシントン条約で国際取引が規制されています。
その後、日本や中国など東アジア地域に生息する「ニホンウナギ」も大幅に減少し、おととし(2014年)絶滅危惧種に指定されたほか、「アメリカウナギ」や東南アジアのウナギなども減少し、世界各地で、ウナギが絶滅する危険性が高まっているとされています。
こうした中、最初にウナギの危機に直面したEUは、「ウナギの漁獲や国際的な取引に不透明な部分があり、そのことが、世界各地のウナギを、絶滅の危機に追い込んでいる」として、今回のワシントン条約の締約国会議でウナギの最大の消費国、日本を含めた国際取引の実態調査を提案しました。
提案の中で、EUは、「ニホンウナギ」について、生息地である日本などの東アジア地域で、漁獲や国際取引について実態の把握が十分に行われていないほか、違法な取引が行われている懸念もあると指摘しています。
今回の会合で、EUの提案が認められ、実際に調査が行われることになれば、日本は取引の実態について国際社会に示す必要が出てきます。調査の結果に国際社会の理解が得られない場合は、ニホンウナギの国際取引の規制など次の段階に進んでいく可能性があります。
今回のEUの提案は、世界的なウナギの資源の保護に向けて、日本などに対策の重要性を訴える強いメッセージが込められています。
世界のウナギを消費する日本
世界最大のウナギの消費国・日本では、東アジア地域でとれる「ニホンウナギ」だけでなく、世界各地のウナギが流通していますが、詳しい実態を把握する仕組みはなく、専門家は、「日本の消費者が知らない間に世界での乱獲を招いているおそれがあることに気付く必要がある」と指摘しています。
日本国内で流通しているウナギは、国内でとれた稚魚を国内で養殖したもののほかに、海外から輸入した稚魚を国内で養殖したものと、海外で養殖し、かば焼きなどになって日本に輸入したものとがありますが、もともとの稚魚がとれた場所について、詳しい実態を調べた統計などはありません。
ウナギの生態に詳しい北里大学・海洋生命科学部の吉永龍起准教授のグループは、5年前から、毎年、神奈川県内のスーパーや飲食店で販売されている輸入もののウナギのかば焼きを集め、DNA解析を行って、世界のどの地域のウナギなのか調べています。
その結果、ニホンウナギのほか、ヨーロッパウナギやアメリカウナギ、それに東南アジアの2種類のウナギと、世界の合わせて5種類のウナギが含まれていることがわかったということです。
また、日本や中国などの東アジア地域で、「ニホンウナギ」の稚魚が特に不漁だった年の翌年は、世界各地のウナギがより多く確認され、おととしは輸入もののかば焼きのおよそ7割がニホンウナギ以外のウナギだったということです。
吉永准教授は、「ウナギは、世界のどこのものか見分けが難しく、日本の消費者は、そのウナギがどこからきたものか、どのくらい危機にひんしているのか知らないまま食べていることになる。日本の消費者は、そうした実態に気付かなければならない」と話しています。 NHKニュースより
日本国内で流通しているウナギは、国内でとれた稚魚を国内で養殖したもののほかに、海外から輸入した稚魚を国内で養殖したものと、海外で養殖し、かば焼きなどになって日本に輸入したものとがありますが、もともとの稚魚がとれた場所について、詳しい実態を調べた統計などはありません。
ウナギの生態に詳しい北里大学・海洋生命科学部の吉永龍起准教授のグループは、5年前から、毎年、神奈川県内のスーパーや飲食店で販売されている輸入もののウナギのかば焼きを集め、DNA解析を行って、世界のどの地域のウナギなのか調べています。
その結果、ニホンウナギのほか、ヨーロッパウナギやアメリカウナギ、それに東南アジアの2種類のウナギと、世界の合わせて5種類のウナギが含まれていることがわかったということです。
また、日本や中国などの東アジア地域で、「ニホンウナギ」の稚魚が特に不漁だった年の翌年は、世界各地のウナギがより多く確認され、おととしは輸入もののかば焼きのおよそ7割がニホンウナギ以外のウナギだったということです。
吉永准教授は、「ウナギは、世界のどこのものか見分けが難しく、日本の消費者は、そのウナギがどこからきたものか、どのくらい危機にひんしているのか知らないまま食べていることになる。日本の消費者は、そうした実態に気付かなければならない」と話しています。 NHKニュースより
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