オーストラリアで、中国が豪州社会への影響力を拡大しているとの警戒感が強まっている。中国系住民の増加や中国企業の相次ぐ投資計画に加え、昨年夏以降、内政干渉が指摘され始めたためだ。議会では、中国を念頭に外国人の献金禁止や諜報活動への監視を強化する法案の審議が行われており、来月にも審議を終え報告書を提出する見通し。
防諜機関、保安情報機構(ASIO)のルイス長官は16日、両院合同委員会の公聴会で、中国の当局者から情報の見返りに金銭の提供を持ちかけられたとする経済紙記者の記事について、ASIOが把握する事例と「驚くほど近い」と証言。諜報監視強化の必要を訴えた。
法案は、ターンブル政権が昨年12月に提出した。昨年公表の国勢調査で、自らを中国系だと答えた数は、前回調査(2011年)の86万人から120万人に増加。約50万人が中国大陸生まれで、「共産党から逃れてきた過去の移民と異なり、経済発展後の移住で本国と結び付きが強い」(研究者)とされる。公共放送ABCは昨年6月、豪州で事業を行う中国人富豪が多額の政治献金で政治的影響力を行使しようとした実態を報じた。
ターンブル政権は昨年11月、14年ぶりに改訂した外交政策白書で「外国政府やその代理人」による内政への「干渉」に言及。その翌月には、南シナ海問題などで中国寄りの発言をしていた野党、労働党のダスティアリ上院議員がこの富豪に公安情報を漏らした疑いで辞職表明した。同議員は富豪から献金も受けており、中国の「浸透」が鮮明に示される形となった。
豪州の初代駐中国大使ステファン・フィッツジェラルド氏は産経新聞の取材に「報道では豪州における中国の影響力が実態以上に誇張されている面もあるが、習近平政権は海外に移民した市民にまで祖国への忠誠を求めるなど、一線を越えている」と話した。
産経ニュースより
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2018年3月21日水曜日
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