2018年3月26日月曜日

トランプ政権 鉄鋼など輸入制限 発動を強行 日本も対象

アメリカのトランプ政権は日本時間の午後1時すぎ、鉄鋼製品などへの異例の輸入制限措置を発動しました。EU=ヨーロッパ連合など7つの国と地域を当面、除外した一方で、日本は対象に含めていて、国内外の反発にもかかわらず強行することになりました。
アメリカのトランプ政権は、中国による過剰生産によって鉄鋼やアルミニウムが安く輸入されていることが安全保障上の脅威になっているとして、異例の輸入制限措置を日本時間の午後1時すぎに発動しました。
このあと、アメリカに輸入された鉄鋼には25%、アルミニウムには10%の高い関税を課すことになり、国内外の反発にもかかわらず強行することになりました。

これについてホワイトハウスは、安全保障上、重要な関係があるとして、カナダやメキシコ、EU=ヨーロッパ連合、オーストラリア、韓国、アルゼンチン、ブラジルの7つの国と地域については、5月1日まで関税の適用を除外すると発表しました。
そのうえで、トランプ大統領が今後の協議しだいで除外措置を続けるかどうか判断するとしています。

一方、日本は除外の対象に入っていませんが、安全保障上の関係がある国とは引き続き、除外に向けて協議することを歓迎するとしています。

トランプ大統領はこれとは別に、中国に対象を絞った制裁措置の発動を決める文書に署名した際、安倍総理大臣について「偉大な男で、私の友人だ」としながらも「アメリカを利用してきた時代は終わりだ」と述べており、今後、貿易問題で日本に厳しい姿勢で臨むことも予想されます。
 
「安全保障上重要」7つの国・地域に日本含まれず
 
トランプ大統領は異例の輸入制限措置の対象に日本を含める一方、韓国やオーストラリアそれにEUなど7つの国と地域については「アメリカと安全保障上、重要な関係がある」などの理由で関税の適用を5月1日まで除外するとしています。

トランプ大統領が署名した文書によりますと、韓国については北朝鮮の核の脅威を取り除くという共通の取り組みがあるほか、長年にわたる軍事同盟の関係だなどと指摘し「安全保障上、重要な関係」があるとしています。

オーストラリアについては、国家安全保障上の問題の解決に向けて互いに支援し、強い経済と戦略的パートナーシップがある「安全保障上、重要な関係」だと説明しています。

アルゼンチンについては、南米で不安定なベネズエラの脅威がある中で、国家安全保障上の問題にともに取り組む「安全保障上、重要な関係」だとしています。

一方、日本は今回トランプ大統領が関税の適用を除外した「安全保障上、重要な関係」などの7つの国や地域には含まれませんでした。
トランプ大統領は「安全保障上の関係」がある国については、今後別の選択肢を協議する用意があるとして、その結果次第では将来的に関税の適用を除外する可能性もあると説明し、日本はトランプ政権との協議を通じて除外を求めていくことになりそうです。
 
世耕経産相「対象から除外 粘り強く働きかけ」
 
世耕経済産業大臣は23日の参議院の経済産業委員会で「日本も対象となる形で発動されたことは極めて遺憾だ。ライトハイザー通商代表は、国別の除外については4月末までに議論を収束させたいと発言しており、対象からの除外を粘り強く働きかけていきたい」と述べました。

そのうえで「日本がアメリカへ輸出する鉄鋼製品はかなり品質が高く、置き換えることができないものが多い。品目別に除外される可能性があるし、されなくても、関税がかかった状態でも買わざるをえない状況になるのではないか」と述べました。
 
自公 政調会長「大変遺憾だ」
 
自民党の岸田政務調査会長は記者会見で「大変遺憾だ。日本が長年にわたり投資を地道に積み上げてきたからこそ、アメリカの貿易赤字も解消されてきた。麻生副総理兼財務大臣とペンス副大統領による経済対話の枠組みをしっかり活用しながら、日本の立場を説明し続けていくことが大事だ」と述べました。

公明党の石田政務調査会長は「自由貿易が大原則であり今回の措置は非常に遺憾だ。日本の貿易がアメリカの安全保障に大きな影響があるとはとても考えられず、日本は対象から除外してほしい。関税の引き上げによりアメリカに入ってくる物が高くなるわけで、アメリカ自身も大きな損失になるのではないか。トランプ大統領には考え方を変えてほしい」と述べました。NHKニュースより

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