2018年3月30日金曜日

不信の連鎖で偶発的衝突も 外交官大量追放が人的交流にも障害

英国での神経剤襲撃事件は、米欧側とロシアの追放する外交官がそれぞれ150人以上にのぼる見通しとなった。開戦前や戦時中を彷彿させる、冷戦終結後で最悪の事態といえる。外交官の大幅削減により、双方の情報交換や信頼醸成の機会が減ることの影響は深刻だ。ロシアは米英両国の総領事館閉鎖なども命じており、人的交流にも大きな障害が出ることになる。
 
外交実務のチャンネルが細るのに伴い、最も懸念されるのは偶発的な軍事衝突だといえる。

たとえば、シリアではアサド政権の後ろ盾であるロシアと、反体制派を支援する米欧側がともに軍事行動を行っている。2月には、米軍主導の有志連合が東部デリゾール近郊で空爆を行い、消息筋によると、ロシア系民間軍事会社に所属するロシア人戦闘員に推定約300人の死傷者が出た。

正確な情報や相互信頼が欠如することで、こうした衝突はより起きやすくなる。ロシアが、極東や西部の国境付近で軍事行動を活発化させていることも懸念を深める材料だ。

ロシアは外交官追放のほか、米英両国に在サンクトペテルブルク総領事館を閉鎖するよう命じた。英国の公的な国際文化交流機関、ブリティッシュ・カウンシルの活動も禁止した。

米総領事館は米国渡航に必要なビザ(査証)の発給を業務としており、ロシア第2の都市、サンクトペテルブルクで米国ビザを取得できない事態となる。観光やビジネスで影響を受けるロシア人は少なくない。ブリティッシュ・カウンシルは、教育・研究分野の交流に取り組んできたが、多くの共同事業が停止する。

人的交流が困難になることで、プーチン政権の対外強硬路線に不満が向けられていく可能性もある。

米欧による外交官追放について、ロシアは、「英米両国が他国に追随を強要している」と主張している。プーチン政権は、欧州連合(EU)内で露外交官追放に踏み切っていない国や消極的な国を取り込み、英米とEUの分断につなげていきたい考えだ。
産経ニュースより

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